信じるか信じないかはあなた次第
- 【バイトテロ・値上げ】ココイチの止まらない客離れの理由を漫画にしてみた(マンガで分かる)@アシタノワダイ
- 変調のきっかけとなった「値上げ」
- ここまで強気の値上げができたワケ
- 他の飲食業態ではありえない
- 時代に取り残されるココイチ
- 新たな敵「スパイスカレー」の登場
- 生き残るのは「本格」か「簡便」だけ
- 早くも2018年の最優秀カレー登場か?
- 油をほとんど使わないカレー
【バイトテロ・値上げ】ココイチの止まらない客離れの理由を漫画にしてみた(マンガで分かる)@アシタノワダイ
ココイチの「客離れ」が止まらない、“値上げ”よりも致命的な原因
変調のきっかけとなった「値上げ」
「ちょっとトッピングしただけで、1000円の出費は痛い……」。そんな声が至る所で聞かれるようになったカレーチェーン最大手の「カレーハウスCoCo壱番屋」(以下、ココイチ)だが、ここへきて深刻な“客離れ”が現実味を帯び始めている。
運営する(株)壱番屋が2月4日に発表した『2020年1月度月次情報』によれば、全店の売上高は100.3%(前年同期比)とほぼ横ばいとなった一方、既存店の客数は98.4%(同)と減少していることが明らかになった。
ココイチの既存店の客数減は、今に始まったことではない。期初となる2019年3月度から2020年1月度にかけての11ヵ月のうち、対前年同期比でマイナスとなった月は、実に8ヵ月にも及んでいる。
ココイチが変調をきたした契機とされているのが、2019年3月1日に行われた「値上げ」だ。
そもそも、ココイチはこれまで、食材や人件費の高騰を理由に度重なる値上げを行なってきた。たとえば、定番メニューの「ポークカレー」は2016年12月以降、地域ごとに値上げを実施。そして昨年3月に、国内店舗のうち約8割の店舗で価格を21円(税込)引き上げられた。現在、同商品は東京23区などの都心部では505円、それ以外の地域でも484円となっている。
それでは、なぜファンからの不満をよそに、ココイチは強気の値上げ戦略をとり続けるのか。
実はそのウラに、同社の明暗を分けるカレーチェーン業界の動きがあるという。
その理宇裕について「カレー総合研究所」代表で、カレー専門のコンサルティングを行う井上岳久氏に解説してもらった。
ここまで強気の値上げができたワケ
ココイチの価格戦略は、業界では「トッピング積み上げ方式」と呼ばれるものです。これは、ベースとなるポークやビーフなどの安価なカレーに、利益率の高いトッピングを積み上げることで、カレー単価の増加を狙う方式です。
そもそも、ココイチのカレー自体の味は、特筆して美味しかったり、独自性があるわけではありません。まさに、家庭の素朴な味をイメージした日本人が食べ慣れてる普通のカレーです。
オーソドックスな「ポークカレー」(画像:CoCo壱番屋公式HPより)つまり、変にこだわりが存在しない分、ココイチには「まずい」「食べにくい」といったマイナス要素が付きにくいという強みになったと言えるでしょう。
さらに強みとなったのが、まさにトッピング。ココイチといえば、ご飯の量やカレーソースの辛さに加え、カツやチーズ、スクランブルエッグなどの豊富なトッピングを選び、自分好みの組み合わせで食べる仕組みが人気です。
「1億通り」と呼ばれるトッピングの組み合わせを作り出したことで、他のカレーチェーンにはない個性を生み、結果として、多くのファンを獲得することにつながったのです。
加えて、カレーとトッピングとを別建てにしていることは、消費者に対する心理的なメリットもあります。なぜなら、ベースとなるカレーだけでなく、トッピングもほぼ毎年のペースで値上げが行われていますが、消費者にとって一連の値上げ幅が非常に小さく映るからです。
昨今、外食チェーンは軒並み値上げによって客離れに苦しんでいます。しかし、ココイチはこのトッピング積み上げ方式によって、他の外食チェーンよりも客離れを抑えられたと考えられます。
他の飲食業態ではありえない
また、価格戦略以外のココイチの強みとして挙げられるのが、独自の「ブルームシステム」と呼ばれる独立支援制度。これは同社の社員をランク付けし、経営スキルを身につけるなどして一定のランクに達した社員が、自身のチェーン店を持つことができるという、“暖簾分け”のような仕組みです。
つまり、ココイチの社員は土地や資金がなくても努力次第で“一国一城の主”になれるというわけです。もちろんその分、人件費は高騰しますが、社員のやる気は意外にも売り上げに寄与するもので、これがココイチの店舗拡大に一役買ったと言えるでしょう。
「トッピング積み上げ方式」と「ブルームシステム」。この2つによって、ココイチはカレーチェーン業界でオンリーワンの存在となりました。
店舗数にしても、売上高にしても、日本のカレーチェーンはココイチ一強と言えるでしょう。ココイチの総店舗数が現在1490店舗に対し、業界2位とみられる「ゴーゴーカレー」は約70店舗と、圧倒的な大差をつけています。
つまり、ココイチがこれまで強気の値上げ戦略をとり続けても顧客を維持できたのは、ひとえに、他の飲食業態ではありえない、ライバル不在の一強状態にあったからなのです。
ところが、ココイチ躍進の立役者である「トッピング」が、カレー業界の大きな変化によって一転、ここへきて“弱点”になりつつあります。
時代に取り残されるココイチ
ココイチのトッピングといえば、代表的なものが「ロースカツ」などの揚げ物です。特に、家庭で揚げ物もやらない若い男性にとっては、揚げたてのボリュームあるカツが気軽に食べられるとあって、これまでは人気を博していました。
しかし、今の若者は健康志向の広まりによって、カロリーの高い揚げ物を避ける傾向にあります。そもそも糖質制限食のブームなどから、カロリーを気にする人が増えた今日において、単純にカロリーアップとなるトッピングそのものが倦厭されがちです。
また、トッピングを見越して簡素化されたココイチのカレーは、飲食業界における「野菜を摂る」大きな流れに取り残されている印象も受けます。
野菜の素揚げがトッピングされたスープカレー。都心部を中心に展開する「野菜を食べるカレーCamp」に代表される炒めカレー。そして、色とりどりの野菜を敷き詰めたスリランカカレー。ここ数年でトレンドになったカレーを見ても分かる通り、カレー業界では今、“野菜”というのが一つのキーワードになっています。
スリランカカレー(Photo by iStock)一方、ココイチのカレーは、具材が溶けてしまっているために、ご飯とカレーソースという見た目になっています。そのため、野菜感のない、栄養バランス的に物足りない印象を与えてしまっている、というのがマイナス要因の一つと言えるでしょう。
さらにここ最近、新たにココイチの立場を脅かす存在が現れました。それが「スパイスカレー」を提供する新・カレー専門店の急増です。
新たな敵「スパイスカレー」の登場
スパイスカレーとは、一言でいえば、「スパイス感を全面に強調した日本人向け創作カレー」です。そもそもは大阪からブレイクし、2017年頃には東京に進出。その後も、大阪や北海道など全国に波及し、第2次といえるカレー専門店ブームを巻き起こしています。
Photo by iStockスパイスカレーの特徴は以下の通りです。
1)直接、大量のスパイスを振りかけるなど、独特のスパイス使いで、スパイスの刺激がダイレクトに味わえる
2)店ごとに異なる独創性のあるカレーで、日替わりで違うカレーを提供する店が多い
3)甘・辛・酸・苦・旨味の五味を意識した、日本人の味覚に合う
4)サラダやピクルスなど副菜と一緒にワンプレートで提供、2種以上のカレーを合い盛りにすることが多い
なぜ、スパイスカレーが日本の老若男女に好まれているか。それは、スパイスを強調しつつも、お茶や山椒といった和の要素が多く取り入れられていて食べやすく、しかも見た目が華やかで「インスタ映え」もすること。さらに、栄養バランスが良いことなどが理由として挙げられます。
このスパイスカレーのブームは、結果として日本人のカレー消費に大きな影響を及ぼしました。つまり、スパイスの多様性によって、もはやカレー専門店はラーメン店並みに急増したことで、外食でカレーを食べる人は、チェーンではなく専門店を選ぶ時代に来てしまったということです。
生き残るのは「本格」か「簡便」だけ
カレー専門店の台頭によって、ココイチのビジネスモデルが限界を迎えていることは、業界の構造の変化から見て明らかです。
カレー業界はこれまで特殊なものでした。チェーンとしては決して安くなく、味も画一的なココイチがそれでも強かったのは、そもそもカレー専門店が少なく、また味を求めるにも、ホテルで提供される極端に高品質・高価格のカレーぐらいしかなかったからです。
ところがここ数年で、ファミレスや吉野家といったカレーチェーン以外の業態でカレーを安く提供する店が増えてきたことで、「安くカレーを食べたい」客層がそちらに奪われつつあります。さらに「美味しいカレーを食べたい」客層は、ココイチで1000円を出すならと、カレー専門店を選ぶようになります。
さらに、脅威は外食店に限りません。レトルトカレーや冷凍カレーのクオリティが劇的に向上し、家でも美味しいカレーが作れてしまうようになりました。すでにレトルトカレー市場は500億円規模にまで成長しています。
Photo by IStockこうなると、カレーの外食は2極化していくと筆者は考えます。すなわち、「本格」か「簡便」か、です。家で食べることのできないプロの味を求める人はカレー専門店に行き、手早く安価にカレーを食べたい人には、提供の早い牛丼チェーンなどやカレースタンドに行く、という流れに今後なっていくかもしれません。
明確なポジショニングをとらなかったため、中途半端な存在になりつつあるココイチ。将来、生き残るための分かれ目は、「本格」か「簡便」か、そのどちらを選ぶかにかかっているでしょう。
ココイチのバイトテロ「バカ投稿」代償はとてつもなく高い…一生さらしもので就職も困難
悪ふざけの「代償」は、高くつきそうだ。
外食チェーンのバイトによる「バカ投稿」が後を絶たない。
12日には福岡県内の「カレーハウスCoCo壱番屋」の店舗内の休憩室で、男性店員がまかないのカレーを不衛生に扱う様子をバイト仲間が撮影。
それがツイッターに流出し、大騒ぎになっている。
問題の動画は、店員が黄色の半ズボンの中に左手を突っ込んでいる場面から始まる。まかないのカレーを食べていた撮影者が「何してるんですか?」と声を掛けると、店員は再びズボンの中に手を入れて何かを引っこ抜き、カレーの上に放り投げた。
店員は「スパイスを振りかけました」とおどけ、「スパイス、スパイス」と口ずさみながら踊り出す。カメラがアップで捉えたカレーライスの上には、黒い陰毛らしきものがのっていた。
壱番屋経営企画室の担当者がこう説明する。
「翌日、本人たちに話を聞いたら、
『動画は仲間内しか見ないと思っていた』とのことでした。すでに2人を解雇し、法的措置に関しては今後検討します」
どうやら店員は、ただの悪ふざけのつもりだったようだ。
しかし、この動画を見たら、誰もココイチのカレーを食べたくなくなるはずだ。
画面上には、店員の実名がテロップで入っていたことから、瞬く間に大学名、所属クラブ、SNSが特定され、ネット上で身元がさらされた。
動画や名前は半永久的に残るため、この先、新たなバイトどころか、就職先を見つけることも難しくなる可能性がある。
■ココイチが訴えたら損害賠償いくら?
4日にはドミノ・ピザのバイトが、店内の厨房でシェークをヘラですくってなめる動画を撮影し、インスタにアップ。
同社が法的手段を検討していることが明らかになったばかり。
ココイチは国内、海外合わせて計1472の店舗がある。民事訴訟になった場合、損害賠償をいくら請求できるのか。山口宏弁護士がこう言う。
「いくらまかないとはいえ、カレー店だけに自社の商品をそんなふうに扱えばイメージが悪い。
食べたくないという人が出てきてもおかしくありません。
メディアやネットで動画が取り上げられ、売り上げが落ち、その原因が拡散によるものと立証できれば、減った売り上げに対する利益分を請求できます。
店舗数が多いので、数千万円で済むかどうか。ココイチのイメージが落ちることを分かっていながら、落ちたら落ちたでいいやという気持ちだったとしたら、犯罪として成立します。刑事事件の方が筋がいいかもしれません」
悔やんでも悔やみきれないだろう。
スパイスの威力がハンパない!!高円寺『青藍』の“香りを食べるカレー”の超絶テクニック
早くも2018年の最優秀カレー登場か?
東京の中央線沿いといえば、質の高いカレー屋さんが多いことで有名だが、高円寺に、“超”がつくほどハイクオリティなカレー専門店が登場。たった一口食べただけで、そのスパイスの半端ない威力を体いっぱいに浴びて、思わず「すごい!」と口走ったほど。スパイシーとはいえ、辛くはない。そのスパイス使いがとんでもなく秀逸なのだ。そんな注目のカレー店『青藍』について早速ご紹介していこう。
場所はJR高円寺駅北口から徒歩5分ほどの商店街の端っこ。ごく普通に見かける町の洋食屋さんのような佇まいで、看板も“紙製“。なんともそっけなく見えるが、よく見てほしい。入口に左に貼ってある紙に「香りを食べる」と書いてある。『青藍』のコンセプトはまさにコレなのだ。
店主の梶田さんがひとりで切り盛りしていて、注文はこれまた簡素な食券スタイル。
メニューは大きく分けて3つ。「スパイシーチキンカレー定食」(900円)、「チキンカレー」(750円)、「ポークジンジャーキーマ」(800円)だ。「チキンカレー」は「スパイシーチキンカレー」よりスパイスの刺激が弱くマイルドなカレー。「ポークジンジャーキーマ」は、豚挽肉を生姜とスパイスで甘辛く仕上げた和風キーマカリーである。なお、「スパイシーチキンカレー」と「ポークジンジャーキーマ」をあいがけにする「カレー定食2種盛」(1,100円)もある。
しかし、ここで迷うことなかれ。初めてならば「スパイシーチキンカレー定食」をぜひ食べていただきたい。なぜなら、表に書いてある「香りを食べる」というのは、まさにこのカレーのことだからだ。ちなみに、お客さんの9割がこれを注文するという。
食券を渡すと、梶田さんがフライパンで何かを炒め始めた。そこに、別の寸胴の中で煮込まれているカレーを加え、さっと炒め合わせる。そして、ターメリックライスを盛ったお皿にカレーをかけ、さらに、野菜のおかずを数種類サイドに盛り付けて“定食”が完成。
ちなみにこの日のおかずたちは「アンチョビキャベツ黒胡椒」、「キャロットクルミクミンラぺ」、「白菜の柚子と切り昆布マリネ」、「生パクチー」と盛りだくさん。
着皿してからも、しばらくふわ~っと湯気が立ち上り続け、カレーはアツアツ。ひと口頬張ると、複数のスパイスが踊るようにくるくると香り立ち、その瞬間に目が丸くなること請け合い。そして「こんなカレーは初めて!」とうれしくなってしまうはずだ。実際、筆者はそうなった。
そんな筆者の様子を見て、店主の梶田さんが「香りを立てるために、炒めたホールスパイスを最後にカレーに合わせているんですよ」と教えてくれた。さっき、フライパンで炒めていたのはホールスパイスだったのだ。聞いてみると、カルダモン、クミン、花椒(四川の山椒)、コリアンダー、ブラックペッパー、フェンネル、クローブなどで、研究を重ねた配合比率なのだという。
カレーを作る際に、最初にホールスパイスを油で炒めてベースを作っていくが、その工程を「テンパリング」と呼ぶそう。梶田さんの場合はベースのカレー作りの際だけでなく、仕上げにもこのテンパリングを行って、最後にカレーに加えて仕上げているのだ。たったこれだけのことのように思うが、香りが際立ち、まさに香りを食べている気分になる。
ちなみに、20年来カレー好きだった梶田さんは大阪や東京のいろいろなカレー屋さんを食べ歩いているそうだが、この「アフター・テンパリング方式」をやっているところはあまり見たことがないそうだ。
油をほとんど使わないカレー
梶田さんは、以前は一般企業の会社員を勤めながら、高田馬場で夏限定の「間借りカレー」や「カレーイベント」で自慢のカレーを振る舞っていた。「身内レベルで好きなカレーを出していただけなんですが、この香りを食べるカレーがちょっとウケまして、その流れでなんとなく店をオープンしたんです」と笑う。でも、実に研究熱心。
「私自身、スパイスが大好きで、これを際立たせる方法を模索していたんです。スパイスというのは、熱を入れた瞬間がいちばん香り高く、広がるんです。ですから、ベースのカレーを作る際の最初だけ加えても、どうしても弱くなってしまうんです。そこで考えたのが後入れ方式なんですよ」
また、この「スパイシーチキンカレー定食」には、他にもさまざまな工夫が施されている。例えば、カレーが辛すぎると個々のスパイスの香りを感じにくくなるので、辛みを抑えている。さらに「油分の多いスープは一瞬旨みを感じるものの、“コク”や“まったりした重さ”ばかりが強調されて、スパイスの爽やかな香りが感じにくくなるのではないか」ということで油もほとんど使っていない。油の代わりに、たまねぎ、緑黄色野菜、鶏ガラ、鰹、昆布といった和風出汁スープで旨みを出すようにしている。それに塩分もかなり控えているそうだ。
さらに定食スタイルにした理由は、カレーだけではどうしても偏りがちな栄養バランスへの配慮に加え、「五味と食感も楽しめるように」とのこと。
「今日はアンチョビキャベツで旨みを、ニンジンのラぺで甘み・酸味・香ばしさを、柚子白菜で香りと食感を……といった具合に、いろいろな味を盛り込んでいます。満腹感もあるけど、女性でもペロリと残さずに食べていかれますね」
カレーの間におかずを食べれば味の変化も楽しいし、カレーと混ぜてももちろん相性抜群。そして何より楽しいのは、噛むたびにホールスパイスの個性的な香りが口のなかで広がるところだ。
「パウダーではそういう楽しみがないんですよね。ホールスパイスを丸ごと使っているのは、香りの七変化を楽しめるからでもあるんです」
う~む、確かに! これは今までにないスパイスカレーの楽しみ方だ。帰り道、口の中にホールスパイスの花椒が残っていたのか、何かの瞬間、香りが開いて自分で驚いた。香りの記憶は残りやすい。これは絶対、『青藍』カレーを忘れられなくなりそうだ。
(取材・文◎土原亜子)
●SHOP INFO
店名:スパイスカレー青藍
住:東京都杉並区高円寺北2-41-15
TEL:03-5327-8342
営:11:30~14:00 18:00~21:00
※品切れの場合は閉店が早まることも
休:水