【12月19日 AFP】炭酸飲料コカ・コーラ(Coca-Cola)が性交後の殺精子剤の働きをするとの考えは、都市伝説以外の何者でもない。18日の英医学誌「ブリティッシュ・メディカル・ジャーナル(British Medical JournalBMJ)」で専門家が注意を呼び掛けた。

 米ハーバード大学医学部(Harvard Medical School)のデボラ・アンダーソン(Deborah Anderson)教授(産婦人科)によると、米国では1950-60年代にかけて、コカ・コーラの酸性が精子を殺すと信じられ、性交後の膣(ちつ)洗浄に使われることがあった。また、いくつかの貧しい国々では現在でも性交後の避妊法として用いられているという。

 だが、アンダーソン教授は、この避妊法が効くという根拠がないばかりか害を及ぼす可能性を示す理由が多くあるという。

 そもそもコーラは効果的な殺精子剤ではないため、精子を殺す可能性は低い。また精子の動きは非常に速いため、コーラ洗浄では間に合わない。

 さらに、コーラが膣内の表層の細胞を痛めたり、有益なバクテリアを取り除いてしまったりするため、性感染症などに感染しやすくなるという。また、膣洗浄は骨盤炎症や子宮外妊娠の危険性を高めるとの実験結果もある。

 アンダーソン教授らの研究チームは、コカ・コーラの人間の精子への影響についての研究で今年、ノーベル賞のパロディー版イグ・ノーベル賞(Ig Nobel Prize)を授賞した。同教授はこれをきっかけに、この「伝説」が復活することを懸念して論文を執筆したと説明している。(c)AFP