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【客は仕込み?】イロモネアで客が笑わない理由を漫画にしてみた(マンガで分かる)

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信じるか信じないかはあなた次第

 

 

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ポイント① イロモネアの笑わない客は仕込み?

ポイント② 審査員は説明会に出席する

ポイント③ ネタ開始前は口を閉じて顔をリセット

ポイント④ 顔のリセットは念押しされる

ポイント⑤ 観客が笑わない理由が発覚?

ポイント⑥ 観客が笑わないことは折り込み済み?

ポイント⑦ とにかく集中できない環境でいっぱい

 

「イロモネア」審査員が笑わない理由


25 日のクリスマス、TBS「ウンナン極限ネタバトル ザ・イロモネア」公開収録を観覧してきました。

「イロモネア」では 100 人の一般審査員がお笑い芸人のネタを判定します。その「審査員」になってきたのです。くそミーハーですみません。

ちなみにこの収録の内容は 2010 年 1 月 3 日午後 9 時「イロモネア新春スペシャル」で放送される予定。今回はその体験記ですが、放送内容のネタバレはいっさいありません。「ネットでネタバレしません」的な念書に署名しました。印鑑も押してきました。

 

「イロモネア」はランダムに選出されるという 5 人の審査員のうち、3 人がネタに笑えば芸人は次のステージへ進出、そして最終ステージで 5 人全員が笑えばクリア、100 万円獲得! というのが基本的な流れになっています。

ところが「これは誰が見ても絶対おもしろいだろう!」というようなネタについて、たまにピクリとも笑わない審査員が画面に映っていることがある。仏頂面で、ふてくされてるように見える人もいる。

そんな判定について「なぜ笑わないの?」「お笑いが好きなんじゃないの?」「どうせ仕込みだろ」と疑問に思う人も大勢いると思うのです。ぼくもそのひとりでした。

 

実際に審査員を体験してみて、なるほどな、という発見がたくさんありました。

 

完全に意外だったことがひとつあります。

「笑わないでください」という指示をスタジオの中で一度も受けなかったことです。

ともすれば「笑うのをなるべく我慢してください」みたいな指示があるのかと思っていたのですが、違いました。むしろ終始「どんどん笑ってください!」という盛り上げ方が貫かれていたのです。

 

「イロモネア」審査員はスタジオ収録とはまた別の日に一度、TBS に足を運んで「説明会」を受ける手筈を踏みます。

その日、スタッフから以下のようなことを言われました。

スタッフ「芸人さんのネタが始まるとき、一度お顔をリセットしてください」


ネタの間にウンナンと芸人のトークで一盛り上がりあった場合、それを引きずると審査それ自体が成立しない。だから「お顔をリセット」する。要するに「口を閉じてください」ということです。

ウッチャンが「始まったら鬼のような顔になります」と表現するような険しい顔になるのは、そのせいです。あと当日のカメラリハーサル、いわゆるカメリハの直前にも、控え室で同じような説明を受けました。

ただ、これらの説明も「みなさん番組をご覧になってご存知とは思いますが…」という前提で、話の流れでサラッと言っていただけなのです。聞き逃してもちっともおかしくないレベル。

書面での注意事項にも「サングラス・マスク等の顔が隠れるものは外してください」「十分体調にご留意ください」的な最低限のことは書かれてますが「笑わないでください」のような項目はいっさいありません。

スタジオに入ると、収録の進行を現場で仕切っているディレクター(松任谷正隆似)や、前説のマセキ芸能社の芸人(あきげん&ツィンテル)が、ひたすら「盛り上がっていきましょう! イェーイ! 拍手!」的なテンションです。

細かいことは終始何も言ってきません。

観客側が「お顔リセット」という約束事を、まずは、自発的にきっちり守ってるだけなんです。

 

さて、いざウンナンと芸人とのトークが一段落して、心身ともにネタに備える審査員。

いったん口を閉じて、歯を見せないようにします。顔のリセット。

 

それは、既に非日常的な体験でした。

 

・自分の表情のことを気にしながらお笑いを見る

・「テレビカメラに撮られてるかも知れない」と思いながらお笑いを見る

・「自分が笑うor笑わないことで合否が決まるかも知れない」と思いながらお笑いを見る

 

うまく笑えるわけがありません。

 

家でテレビ見たりラジオ聞いたりしてるとき、あるいはお笑いライブを見に行ってるとき、ふつうの人は完全に油断してます。あるいは弛緩。口は開きっぱなしだし、別に誰にも見られてるわけでもないから、もう心おきなく爆笑する。

「イロモネア」現場は、そんな普段の状況とは何もかもが異なっているんですね。ネタを見ていると同時に「自分も見られている」という感覚が必然的にまとわりつき、わりと自意識過剰な中学生って感じの精神性に蝕まれてしまうのです。

ネタを見ながら芽生えてくるのは「たかがこんなことで笑ってしまうハードルの低い自分を認めたくない」という変な意地でした。いったんは口を閉じてるわけですから「口を開けるためには一箇所でも明確な笑い所がないといけない」と頑なになる。

たとえちょっとくらい心の中で面白いと思っても、その感情を「口を開けて笑う」という表情筋の弛緩にダイレクトにつなげてしまうのは安直すぎるのではないか? そんな事まで気にしてしまい、うまいこといかないのです。

画面に映っている審査員の顔が、どこかムスッとしてるような、つまらなそうな顔に見られがちなのは、「一般人のルックスの限界」というのもありますが、理性と感情との相克、ジレンマに悩んでいるからでもあるのです。

 

スタジオの中には物珍しいものがいっぱいでした。それで注意力散漫になってしまう、というのも否定できません。

なにしろ芸人がネタを披露してる様子をウンナンのふたりが見てるわけです。その反応をチラ見したいのは当然じゃないですか。そのせいでネタの肝心なところを見逃したりする。

また「今やってる種目(一発ギャグ、ショートコント等)」や「残り○○秒」と制限時間が表示されるモニターが、ステージとはまた別の高所に設けられていて、そのデータ的な部分も気になります。

カンペ出したりしてるディレクターや、カメラマン、あるいはスタジオのどこかに潜んでいる裏方(作家?)が、けっこう声を出してよく笑っています。客席の笑い声よりだいぶ響く。

みんながみんな番組の盛り上げには必死でしょうし、本当にお笑いのことが好きなのかも知れませんが、先に笑い声を聞いちゃうと「逆に笑えない」と冷めちゃう弊害もありましょう。

カメラマンがちょこちょこ動いていたり、天井から当てられる照明が熱を発していて頭がボーッとしてきたり。さまざまなちょっとした理由によって、集中力は削がれていきます。

 

あと、体調。

今回「イロモネア」審査員の集合時間は「午後3時20分」でした。年末の師走、浮かれ気分の金曜日の午後。クリスマスだというのに、みんな暇です。

で、収録が終了したのは翌日の「午前2時30分」でした。

なんだかんだで「11時間」ほど拘束されていたことになります。

もちろん自分で望んだことなので文句を言うのはお門違い。スタジオの中では楽しいことばかりが起こるし、いろんな芸能人をナマで見られて超うれしい。途中に自由で暇な待ち時間も挟まっています。とはいえ、この 11 時間は決して体力的に楽じゃない。

正直ネタ中ちょっと眠りそうになりました。最悪です。でも仕方ない。

このあたりの不可避的な生理現象が、イロモネア審査員が笑わない理由のひとつかも知れません。

 

そもそも審査員は誰なんでしょう。

変な話「サクラが混ざってるんじゃないか」という疑惑は常にあるわけです。それはスタジオで他のお客の外見を眺めてもなお、永久に拭いきれない部分です。このあたりは誰が何を言っても制作者側の一部の人にしか事実は知り得ない。

そうなると実体験に基づいて言えるのは、「ぼくだけは100%サクラじゃないよ」という事くらいのものです。番組公式サイトのフォームから応募したのが選ばれたのでした。

 

まわりから聞こえてくる雑談を耳にしても、ほとんどは本当に「ふつうのお客さん」のようではありました。

男女カップルが複数いました。女性の二人連れもかなり多かったです。男ひとり、女ひとり、は自分も含めて十数名といったあたり。年代的には 20 代後半から 30 代が多い印象です。

整列してる待ち時間に自然と耳に入ってくる話で、男女カップルの男のほうが「バカリズムのネタをまったく見たことない」とか言ってる話が聞こえてきたりしました。

二人連れで来るということは、根本的に「どちらか片方が応募して、片方はそんなにお笑い興味ない」というケースが多そうです。上記カップルは男がお笑いに興味ないパターンでしょうか。

誰も彼もお笑いに超詳しい人である必要はないのですが、出てくる芸人のネタについて面白い面白くないの判断をする以前に、「誰コイツ?」ってことになってくるケースもありそうです。心を許していないと、笑えるものも笑えない。

お笑いに興味がない。というお客は、やっぱり少なからず存在してそうです。

 

あと最後に、これはちょっと憶測の域に入ることなんですが。

事前の説明会でアンケート用紙への記入を求められたんですね。50 組ほどのコンビやピン芸人の名前が記載されていて、「この中で面白いと思う芸人に○をつけてください」という複数回答可の問いに答えていきます。

そしてもうひとつ、「嫌いな芸人の名前」を自由回答で記載する欄が設けられていました。

ただのアンケートなので気に留める必要はないのかも知れませんし、単に番組へのブッキングの参考にするための統計資料という側面もあるのでしょう。嫌われている芸人ばかり出して視聴率落としてちゃ世話ないですから。

しかし、もしかしたら、このアンケート用紙への回答結果をもとに、当日いろいろ作為的に審査員の好き嫌いを踏まえた「調節」をおこなっているのでは? とか邪推したりしました。「こいつには勝ち上がらせたくない」という芸人には相応の審査員をあてがうとか。

もちろん芸人も客もナマモノなので必ずしも「好きだから笑う」「嫌いだから笑わない」とかアンケート結果のとおりになんて事は運ばないと思うんですけどね。「好きだから普段見すぎて既出ネタに笑えない」というケースもあるわけですし。その逆もまたしかり。

 

そんなわけでうっかり考え込んでしまいましたが、芸人のネタや「観覧」体験それ自体は、途中しんどくて眠りそうになったのを除けば、トータルでめちゃくちゃ楽しかったです。

一度ネタ中に笑ってしまえば、あとはもう審査も何も関係ないので、ずっと爆笑してました。

スタジオセットは事前にイメージしていたものよりも遥かにこじんまりしており、まるで小劇場のよう。ステージもおもいのほか面積が小さく、客席との距離が全体的にものすごく近かったです。

ウッチャンがずり落ちたズボンをしきりに元に戻すのを間近で目撃することができたりと、最高のクリスマスプレゼントでした。

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