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「和食」が健康にもたらすメリットは多い 5割が「健康に良い」、8割以上は「和食が好き」

日本の食事スタイルはメリットが多い

 2型糖尿病の早い段階から、動脈硬化が進みやすい。動脈硬化は、内臓に脂肪がたまる内臓脂肪型肥満やメタボリックシンドロームとも関連が深い。

 

 動脈硬化が進むと、循環器疾患や心疾患など合併症の発症リスクが上昇する。不健康な食事や運動不足などの生活スタイルを見直すことで、動脈硬化を改善できる。

 

 日本食は動脈硬化の予防の観点からもメリットが多い。日本動脈硬化学会が提唱している「The Japan Diet」は日本食パターンの食事スタイル。日本食には、魚(とくに青背魚)、大豆・大豆製品(納豆、豆腐、高野豆腐)、緑黄色野菜を含む野菜、海藻、キノコなどを摂りやすいというメリットがある。

 

 主食であるごはん(白米)を、玄米、胚芽米、麦ごはん、雑穀ごはんなどに変えると、ビタミンやミネラル、食物繊維などの不足しがちな栄養素を補うこともできる。

 

 玄米に含まれる「γ-オリザノール」にはインスリンの分泌を促す効果がある、また大麦に含まれる「β-グルカン」には食後血糖値の上昇を抑える効果があるなど、2型糖尿病など生活習慣病の改善を期待できるとして注目されている。

日本食のパターンで死亡リスクが低下

 日本食が健康的であることを裏付ける研究も発表されている。大豆、魚介類、緑黄色野菜、漬物、海藻、緑茶を組み合わせて食べることで、死亡リスクが低下するという。

 

 東北大学や国立がん研究センターの研究グループが行った「JPHC研究」で、日本食パターンが高い人では、全死亡・循環器疾患死亡・心疾患死亡のリスクが低いことが明らかになった。

 

 日本食のパターンのスコアの高いグループは、低いグループに比べ、全死亡のリスクが14%、循環器疾患死亡のリスクが11%、心疾患死亡のリスクが11%低下した。

 

 日本食の食事スタイルにより、大豆、魚介類、緑黄色野菜、漬物、海藻、緑茶を摂取することで、食物繊維、抗酸化物質、カロテノイド、エイコサペンタエン酸といった健康に有益な栄養素を摂取できると考えられている。

 

関連情報

和食はユネスコ無形文化遺産に登録されている

 日本の国土は南北に長く、四季が明確で多様で豊かな自然があり、そこで生まれた食文化にも、これに寄り添い「自然を尊ぶ」という気質がある。

 

 こうした日本の食についての習わしが、「和食:日本人の伝統的な食文化」として、2013年にユネスコ無形文化遺産に登録された。

 

 そこで農林水産省は、国民の食生活などの実態や、和食文化に対する意識などを知るために、「国民の食生活における和食文化の実態調査」を実施した。調査は、全国の20~69歳の男女1万235人を対象に、2020年に実施。

 

 「和食および和食文化」に対するイメージは、全体で「健康に良い」がもっとも多く48.9%、以下は「季節を感じられる」(44.9%)、「旬のものがおいしく食べられる」(43.7%)、「栄養バランスが良い」(41.8%)、「素材のおいしさが味わえる」(39.7%)の順で多かった。

 

 一方、「調理が難しい」(21.4%)、「価格が高い」(14.3%)、「塩分が高い」(12.5%)といったネガティブなイメージも挙げられた。

 

「和食」および「和食文化」に対するイメージ

 

(n=2,000)

 

出典:農林水産省「国民の食生活における和食文化の実態調査」、2020年
8割以上の人は「和食が好き」

 調査では、「和食が好き」は全体で8割以上と高かったものの、和食文化がユネスコ無形文化遺産に登録されたことを「知っている」と答えたのは3割弱にとどまり、「知らない」という人も4割強に上った。

 

 「和食文化」がユネスコ無形文化遺産に登録されたことを知っている割合は、男性は60代で4割以上と高かった。女性は年代ととも高くなり、20代で「知っている」は2割弱であるのに対して、60代では3割を大きく上回った。

 

 自宅での料理頻度が「ほぼ毎回」は、全体では4割強、女性では6割を超えたが、男性は2割強にとどまった。2015年度と比較すると、女性は「ほぼ毎日」の割合が低下しており、料理頻度はやや低下している。

 

「和食文化」がユネスコ無形文化遺産に登録されたことを認知している人の割合

 

 

出典:農林水産省「国民の食生活における和食文化の実態調査」、2020年

 

一般社団法人 日本動脈硬化学会

 

多目的コホート研究(JPHC Study) 国立がん研究センター 社会と健康研究センター 予防研究グループ
Association between adherence to the Japanese diet and all-cause and cause-specific mortality: the Japan Public Health Center-based Prospective Study(European Journal of Nutrition 2020年7月16日)

 

基本政策 - 食文化(農林水産省)

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