信じるか信じないかはあなた次第
- 【生活習慣病】あなたは大丈夫?絶対に見逃してはいけない病気の初期症状を漫画にしてみた(マンガで分かる)
- 肺結核の初期は風邪のような症状
- 感染しても発病するとは限りません
- 結核の典型的な経過をたどった症例をご紹介いたします
- 結核は患者さん本人だけの問題ではありません
- 血糖とインスリンについて
- 「インスリンが十分に働かない」ってどういうこと?
- 糖尿病の症状ってどんなもの?
- 糖尿病ってどんな種類があるの?
- 参考:糖尿病の分類
- 参考文献
- 腫れやむくみをチェックしましょう
- 腫れ、むくみとは?
- 腫れ、むくみのタイプ
- むくみに隠れるこんな病気
- 血尿とは
- 血尿の原因
- 血尿を調べる検査
【生活習慣病】あなたは大丈夫?絶対に見逃してはいけない病気の初期症状を漫画にしてみた(マンガで分かる)
肺結核の初期は風邪のような症状
肺結核を発病した初期の症状は、咳・痰、発熱など、風邪と同じです。ただしそれが2週間以上も続いたり、良くなったり悪くなったりを繰り返すところが風邪と違います。
- タンが出る
- 咳が長引く
- 倦怠感
- 微熱が長引く
長引く風邪は赤信号風邪、あるいはタバコの吸い過ぎ、と思っても早めにかかりつけの医師を受診しましょう。早期発見で、病気も治りやすく、周囲の人にうつす恐れも低くなります。
感染しても発病するとは限りません
結核に感染しても必ず発病するわけではありません。健康であれば、菌を吸い込んだあと、人の体は免疫によって結核菌を抑え込んでしまいます。その人の体力が低下したり、他の病気になって免疫機能が働かなくなるなどして抵抗力がおちると、抑え込まれていた結核菌が再び活動をはじめ、発病するのです(図7)。
結核の典型的な経過をたどった症例をご紹介いたします
Aさんは60歳代男性です。もともと健康で大きな病気にかかったことはありませんでした。
- 1発病
- ある時から咳が出始めたため、風邪と思って手持ちの風邪薬を服用し、3~4日で症状がやや軽くなったので、そのまま放置していました。
- 2発熱
- 2週間後再び咳が出始めました。このころから夕方になると37.5℃くらいの熱が出るようになりました。かかりつけ医を受診したところ、「風邪のぶり返し」と言われ、抗生物質や解熱剤、咳止めなどが処方されました。
- 3血痰
- お薬のせいか症状は多少改善したものの、1週間後には、痰に血が混じっているのを発見して不安になり、改めてX線検査と痰の検査を行い、感染性の肺結核と診断されました(図8の①)。
- 4入院
- 結核病床のある病院を紹介され直ちに入院し、標準的治療による治療を開始しました。 お薬は毎朝食後看護師からコップの水とともに受け取り、その場で飲む「直接服薬確認治療(DOTS、ドッツ)」方式で服用しました(図8の②)。
- 5治療の進行
- 治療開始後2カ月後の結核菌塗抹検査で結核菌検査が3回続けて陰性になりました。また、X線検査でも結核の影は小さくなり、治療が順調に進んでいることがわかりました(図8の③)。
- 6退院
- DOTSカンファランスが開かれ、病院の医師や看護師、ケースワーカー、それと地域の保健師などが検討し、Aさんの今後の治療について検討されました。その結果、外来で規則的な治療の継続が続けられると判断され、退院して外来治療に切り替えられることが決められました(図8の③)。
- 7外来受診
- 外来での治療は2剤だけとなり、毎月受診して1カ月分の薬をもらい、それを毎日服用することになりました。また、保健所から交付された「服薬手帳」のカレンダーに妻が[服薬済み]のマークを記入して、外来受診の時に主治医がチェックし、確認のサインをもらうという方法がとられました。毎月家庭訪問をする保健所の保健師もこれをチェックし、その月の欄にサインをしながら、激励の声をかけてくれるようになりました(図8の④)。
- 8治療完了
- 大きな副作用もなく、退院後4カ月の外来治療が無事終了、最後の受診時のX線検査でも経過は順調なことが確認され、治療は完了となりました(図8の⑤)。
結核は患者さん本人だけの問題ではありません
Aさんのまわりの方に感染が広がっていないかどうか調査(接触者検診)をしました
Aさんの入院に伴って保健所の保健師が面会に来院し、病気や治療の説明をしながら、発病前後のAさんの生活について尋ねました。その結果に基づいて、保健所はAさんから結核感染を受けそうな人の範囲を決めました(妻、咳をし始めてから何回か訪ねてきた子どもの家族、何回か通った近所の碁会所の仲間など)。これらの人々には保健所から連絡して健康診断を受けてもらいました。
検査の結果、妻は病気は起こしていないが感染を受けた可能性があるとのことで発病予防の治療が行われました。子どもの家族は全員感染はありませんでした。碁会所の仲間にも血液検査、X線検査により異常がないことが確認されました。
糖尿病とは
糖尿病は、インスリンが十分に働かないために、血液中を流れるブドウ糖という糖(血糖)が増えてしまう病気です。インスリンは膵臓から出るホルモンであり、血糖を一定の範囲におさめる働きを担っています。
血糖の濃度(血糖値)が何年間も高いままで放置されると、血管が傷つき、将来的に心臓病や、失明、腎不全、足の切断といった、より重い病気(糖尿病の慢性合併症)につながります。また、著しく高い血糖は、それだけで昏睡(こんすい)などをおこすことがあります(糖尿病の急性合併症)。
ここでは糖尿病についての基本的なお話をします。
血糖とインスリンについて
私たちが食事をすると、栄養素の一部は糖となって腸から吸収されます。寝ている間など、食事をしない時間が続くときには、主に肝臓により糖が作られています。糖はからだにとって大切であり、食事をしたときも、食べていないときも、常に血液中を流れています。糖は血液の流れに乗って、からだのあらゆる臓器や組織へめぐります。
血液中をただよい、筋肉などの細胞までたどり着いた糖は、同じく血液中に流れていたインスリンの助けを借りて細胞に取り込まれます。取り込まれた糖は、私たちのからだが活動するためのエネルギーの源となります。
インスリンは細胞のドアを開ける鍵のような役割を果たしています(図1:糖とインスリンの働き)。インスリンの働きによって、細胞の前まで到着した糖はすみやかに細胞の中に入り、糖は血液中にあふれることなく、血液中の糖の濃度は一定の範囲におさまっています。
図1:糖とインスリンの働き
- 糖はからだのエネルギー源です
- 糖をエネルギーとして使うにはインスリン(鍵)が必要となります
「インスリンが十分に働かない」ってどういうこと?
糖尿病になるとインスリンが十分に働かず、血糖をうまく細胞に取り込めなくなるため、血液中に糖があふれてしまいます。これには、2つの原因があります(図2:インスリンが十分に働かない)。
- インスリン分泌低下:膵臓の機能の低下により、十分なインスリンを作れなくなってしまう状態。細胞のドアを開けるための鍵が不足しているので、糖が中に入れず、血液中にあふれてしまいます。
- インスリン抵抗性:インスリンは十分な量が作られているけれども、効果を発揮できない状態。運動不足や食べ過ぎが原因で肥満になると、インスリンが働きにくくなります。鍵であるインスリンがたくさんあっても、細胞のドアのたてつけが悪く、開けることができません。この場合も、血液中に糖があふれてしまいます。
糖尿病ではこの2つが影響して、血糖値が高くなってしまいます。
図2:インスリンが十分に働かない
1.インスリン分泌低下
インスリン(鍵)が不足していて、糖が細胞の中に入れない。糖の取込みがうまくいかない。
2.インスリン抵抗性
インスリン(鍵)があっても、細胞のドアのたてつけが悪いため、開きにくい。効率よく糖を取り込めない。
糖尿病の症状ってどんなもの?
症状がなく糖尿病になっていることに気がついていない方も多くいます。糖尿病では、かなり血糖値が高くなければ症状が現れません。
高血糖における症状は、
- 喉が渇く、水をよく飲む
- 尿の回数が増える
- 体重が減る
- 疲れやすくなる
などです。
さらに血糖値が高くなると、
- 意識障害
に至ることもあります。
症状がまったくないまま健診などで糖尿病が判明する方もいれば、急に高血糖の症状が現れて糖尿病が判明する方もいます。また、眼や腎臓の合併症の症状が現れて、初めて糖尿病と診断される方もいます。糖尿病の診断について、詳しく知りたい方は 糖尿病は早くみつけましょう をご覧ください。
糖尿病ってどんな種類があるの?
糖尿病は、その成りたちによっていくつかの種類に分類されますが、大きく分けると「1型糖尿病」、「2型糖尿病」、「その他の特定の機序、疾患によるもの」、そして「妊娠糖尿病」があります。
1型糖尿病
1型糖尿病では、膵臓からインスリンがほとんど出なくなる(インスリン分泌低下)ことにより血糖値が高くなります。生きていくために、注射でインスリンを補う治療が必須となります。この状態を、インスリン依存状態といいます(表1:1型糖尿病と2型糖尿病の特徴)。
詳しくは、1型糖尿病をご覧ください。
2型糖尿病
2型糖尿病は、インスリンが出にくくなったり(インスリン分泌低下)、インスリンが効きにくくなったり(インスリン抵抗性)することによって血糖値が高くなります(表1:1型糖尿病と2型糖尿病の特徴)。2型糖尿病となる原因は、遺伝的な影響に加えて、食べ過ぎ、運動不足、肥満などの環境的な影響があるといわれています。(こんな人は糖尿病に気をつけて)
すべての2型糖尿病患者の方に生活習慣の問題があるわけではありませんが、血糖値を望ましい範囲にコントロールするためには、食事や運動習慣の見直しがとても重要です。飲み薬や注射なども必要に応じて利用します。
表1:1型糖尿病と2型糖尿病の特徴
1型糖尿病 2型糖尿病 若年に多い
(ただし何歳でも発症する)発症
年齢中高年に多い 急激に症状が現れて、糖尿病になることが多い 症状 症状が現れないこともあり、気が付かないうちに進行する やせ型の方が多い 体型 肥満の方が多いが、やせ型の方もいる 膵臓でインスリンを作るβ細胞という細胞が壊れてしまうため、インスリンが膵臓からほとんど出なくなり、血糖値が高くなる 原因 生活習慣や遺伝的な影響により、インスリンが出にくくなったり、インスリンが効きにくくなったりして血糖値が高くなる インスリンの注射 治療 食事療法・運動療法、飲み薬、場合によってはインスリンなどの注射を使う
その他の特定の機序、疾患によるもの
糖尿病以外の病気や、治療薬の影響で血糖値が上昇し、糖尿病を発症することがあります。
妊娠糖尿病
妊娠糖尿病とは、妊娠中に初めてわかった、まだ糖尿病には至っていない血糖の上昇をいいます。
糖は赤ちゃんの栄養となるので、多すぎても少なすぎても成長に影響を及ぼすことがあります。そのため、お腹の赤ちゃんに十分な栄養を与えながら、細やかな血糖管理をすることが大切です。妊娠中は絶えず赤ちゃんに栄養を与えているため、お腹が空いているときの血糖値は、妊娠していないときと比べて低くなります。
一方で、胎盤からでるホルモンの影響でインスリンが効きにくくなり、食後の血糖値は上がりやすくなります。
多くの場合、高い血糖値は出産のあとに戻りますが、妊娠糖尿病を経験した方は将来糖尿病になりやすいといわれています。
詳しくは、妊娠と糖尿病をご覧ください。参考:糖尿病の分類
- 1型(膵β細胞の破壊、通常は絶対的インスリン欠乏に至る)
- 自己免疫性
- 特発性
- 2型(インスリン分泌低下を主体とするものと、インスリン抵抗性が主体で、それにインスリンの相対的不足を伴うものなどがある)
- その他の特定の機序、疾患によるもの
- 遺伝子として遺伝子異常が同定されたもの
- 膵β細胞機能にかかわる遺伝子異常
- インスリン作用の伝達機構にかかわる遺伝子異常
- 他の疾患、条件に伴うもの
- 膵外分泌疾患
- 内分泌疾患
- 肝疾患
- 薬剤や化学物質によるもの
- 感染症
- 免疫機序によるまれな病態
- その他の遺伝的症候群で糖尿病を伴うことの多いもの
- 妊娠糖尿病
参考:糖尿病診断基準に関する調査検討委員会:糖尿病の分類と診断基準に関する委員会報告(国際標準化対応版). 糖尿病55:491, 2012より
参考文献
- 糖尿病診療ガイドライン2019
- 糖尿病治療ガイド2020-2021
腫れ、浮腫み(むくみ)とは?
腫れやむくみをチェックしましょう
朝、目が覚めて鏡を見たら、睡眠不足や水分のとり過ぎで、「まぶたが腫れている!」、「むくんで指輪がはずれない!」、長時間同じ姿勢で過ごし、夕方になると「足がむくんでいる!」…多くの方は、そんな経験をしたことがあるでしょう。
このように日常的に起こる腫れやむくみに、何かの病気が隠れていることがあります。腫れ、むくみとは?
腫れとむくみはよく似ています。
「腫れる(腫脹:しゅちょう)」というのは、炎症などが原因でからだの一部、例えば皮膚のある部分で血液の量が増加して膨らむことをいいます。赤くなったり、熱をもっているように感じたり、痛んだりします。
「むくみ」というのは、何らかの原因によって、皮膚ないし皮膚の下に水分が溜まった状態です。血液中の水分が血管の外に異常に浸み出した状態で、少し専門的な言葉では「浮腫(ふしゅ)」ともいいます。腫れ、むくみは、日常でよくみられる症状ですが、腫れやむくみに、もしかしたら病気が隠れているかもしれません。
以下のページで「腫れ・むくみをくり返す体質」の主な症状を紹介しています。腫れ、むくみのタイプ
起こる原因によって、腫れ、むくみのタイプが異なります。
医学的には、腫れ、むくみは、起こる場所によって大きく2つのタイプに分けられます。
起こる場所 タイプ からだの左右両側
(全身に起きる場合)全身性・両側性(りょうそくせい) からだの片側だけ 局在性・片側性(へんそくせい) さらに、腫れ、むくみの性質によっても2つのタイプに分けられます。
むくみの性質 タイプ 指で数秒間押して放したとき、へこんでしばらく元に戻らない 圧痕性(あっこんせい) すぐに元に戻って跡が残らない 非圧痕性(ひあっこんせい) 例えば、夕方になって、「足がパンパンにむくんでいるわ!」というときは、おそらく両足が同じようにむくんでいる「両側性(全身性)」のむくみでしょう。
そして、向こうずねを指で数秒間押すと、押した跡(圧痕)がついてなかなか消えない「圧痕性」のむくみでしょう。
また、靴下の跡がくっきり…というむくみの場合も「圧痕性」といえるでしょう。
自分の悩んでいる腫れ、むくみがどんなタイプなのかを知っておくと、医師に相談するときに役立つかもしれません。腫れ、むくみのチェックポイント
- ①腫れやむくみは、どこに起きますか?
- ②腫れやむくみは、全身性(両手や両足)ですか、または局在性(片手や片足、部分的)ですか?
- ③指で強く押したとき、へこんでもすぐに元に戻りますか?
- ④いつ、腫れやむくみが出ますか(朝ですか、夕方ですか)? 消えるタイミングは?
- ⑤腫れやむくみが、よく出るきっかけはありますか?
- 例えば、ある食べ物を食べたときや薬を飲んだときに、腫れやむくみが出る…など
むくみに隠れるこんな病気
腫れやむくみは健康な人でも起こります。
加齢でも生じますし、妊娠中にも一般的にみられる現象です。
健康な人では、水分と塩分の摂取を控えめにし、からだを冷やさないようにするといった対策をとれば、ある程度むくみを予防することができるでしょう。
女性では足のむくみで悩んでいる方が多いかもしれません。
では、どんなむくみに注意したらよいのでしょう?1全身性で、指で押すとへこんでしばらく元に戻らないむくみの代表例
全身性のむくみを起こす、代表的な病気に、心臓、肝臓や腎臓の病気があります。
写真は腎臓の病気の方のむくみの写真です。
指で押した跡がくっきりと残っているのが分かるでしょう。
むくみだけでなく、呼吸が苦しい、息切れ、動悸、胸痛、尿の出が悪い、疲れやすいといった症状があるときは、かかりつけ医やお近くの医療機関を受診してご相談ください。心臓は血液の循環を調節しています。
心臓のポンプの働きが低下すると、全身へ血液を上手に送れなくなります。
血液のめぐりが悪くなって水分がからだに溜まり、むくみがあらわれます。
肝臓は、食べたものをエネルギーに変えたり、アルコールや薬、老廃物を分解したり、胆汁という消化液を作り脂肪の吸収を助けたりします。
肝臓で作られるアルブミンというタンパク質は、血液中(血清)の総タンパク質の約60%を占め、血液中の水分を一定に保つ役割があります。
肝臓の機能が低下してアルブミンが少なくなると、血液中の水分が血管の外へ出やすくなり、むくみがあらわれます。
腎臓は、からだの水分を調節し、老廃物を尿として排泄します。
腎臓の機能が低下すると、からだの中の余分な水分を尿として排出できなくなり、からだに溜まった余分な水分によりむくみがあらわれます。
また、ネフローゼ症候群といって、何らかの原因で腎臓に障害が起こり、血液中のタンパク質が尿中へ漏れ出てしまうようになると、血液中のタンパク質が少なくなります。
その結果、血液中の水分が血管の外に漏れるようになり、むくみが起こります。2全身性で、指で押しても跡が残らないようなむくみの代表例
甲状腺機能低下症は、甲状腺ホルモンの産生・分泌が低下し、寒がりになる、皮膚の乾燥、汗をかきにくくなる、便秘、むくみ、体重増加、眠たくなるなどの症状をきたす病気です。
粘液水腫(ねんえきすいしゅ)といわれる、指で押しても跡が残らないようなむくみが起こるのも特徴です。3局在性で、指で押すとへこんでしばらく元に戻らないむくみの代表例
足のむくみでも、飛行機に長時間乗った後などに急に片方の足がむくんだ場合は、要注意です。
深部静脈血栓症、いわゆるエコノミークラス症候群の可能性があります。
同じ姿勢でじっとしていて、水分が不足していると、血液の流れが悪くなり、静脈の中に血のかたまり(血栓)ができてしまい、血管がふさがれてしまうのです。
血栓がつまったほうの足だけがむくむことになります。
こんなときは、すぐに医療機関を受診してください。4局在性で、指で押しても跡が残らないようなむくみの代表例
じんま疹は、皮膚の一部が急に赤くなり、蚊に刺されたときのようなぷっくりとした境界明瞭な皮膚のふくらみ(むくみ)が急にあらわれる病気です。
アレルギー性のじんま疹は、食べ物、薬、植物(天然ゴム製品を含む)、昆虫の毒素などを原因として、数分から数時間以内に起こります。じんま疹とよく似た症状を示すものに、血管性浮腫※があります。
血管性浮腫は、急に皮膚が腫れたりむくんだりして数日で消えることが特徴です。
皮膚のどこにでも生じますが、特にまぶたやくちびるに多くみられます。
皮膚以外に口の中や舌、のど、消化管などにも起こることがあります。
消化管が腫れると、お腹が痛くなったり吐き気が生じたりすることもあります。
また、のどが腫れると息がしづらくなり、窒息するおそれがあるので危険です。
顔面やくちびる周囲が腫れたときは、顔に続いてのどが腫れることがあるので、救急外来を受診してください。血管性浮腫は色々な原因から起こりますが、その1つに遺伝性の珍しい病気があります。
急に手足や顔が腫れたりむくんだりして数日で消える、その腫れやむくみにはかゆみはない、2、3日原因不明の腹痛が続いたりする、といった症状をくり返す場合、特に同様の症状がご家族・ご親戚の方にもみられる場合は、「腫れ・むくみをくり返す体質」かもしれません。
尿に血が混じる。血尿を指摘された
血尿とは
健診や病院での尿検査で、「おしっこに血が混じってます」とか「尿潜血陽性です」とかいわれることがあると思います。尿に血が混じる、いわゆる血尿は、尿を作る腎臓や尿の通り道の重要な病気のサインです。血尿が発見される頻度は年齢とともに増え、男性に比較して女性に多く見られます。おしっこが赤いなど、尿に血が混じることを目でみて判断できる肉眼的血尿はさらに重要な病気のサインです。たとえば膀胱癌の85%は肉眼的血尿を契機として発見さます。また腎癌でも、最近は検診や人間ドックなどで偶然に発見される症例が増えてきたものの、血尿を契機に見つかることも少なくはありません。いっぽう、目でみて尿の色の変化はわからないものの、尿検査にて血が混じっている状態を顕微鏡的血尿といいます。顕微鏡的血尿でも、がんなどの重要な病気の危険信号の場合がありますので注意が必要です。
血尿の原因
血尿の原因としては、悪性腫瘍や結石、膀胱炎などの炎症、腎臓の内科的な病気など様々なものがあります。顕微鏡的血尿を起こす主な病気は、腎臓で血液から尿をろ過する糸球体という器官になんからの原因があることがあります。この場合、尿に蛋白が混じっているかが重要なサインになります。また、悪性腫瘍は生命を脅かす危険があるため、早期発見が必要です。そのなかには、膀胱癌、腎癌、前立腺癌、尿管癌、腎盂癌などがありますが、膀胱癌は顕微鏡的血尿で診断される悪性腫瘍の中で最も多いがんです。尿路結石症では、ほとんどの症例で顕微鏡的血尿をともなっています。膀胱炎でも、膿尿と血尿を伴う場合があります。まれではありますが、腎臓の血管の奇形でも血尿をきたすことがあります。
これらの病気をはやく発見するためには、健診や人間ドックなどによる尿検査が重要です。血尿が見つかった場合には、症状がないからとほっておかず、はやめに専門医の受診をおすすめします。
血尿を調べる検査
健診やかかりつけの病院で血尿を指摘されたら、泌尿器科医の受診をお勧めします。泌尿器科では尿検査のほかにまず超音波検査を行います。超音波検査は簡単に行え、また痛みもなく、がんや尿路結石の有無などさまざまな情報が得られる有用な検査です。もし、なんらかの疾患が疑われた場合には、さらにCTやMRI、採血、膀胱鏡などいろいろな検査を行っていきます。特に肉眼的血尿は重要な病気のサインです。喫煙者で肉眼的血尿がある場合には、膀胱癌などの疑いがありますので、尿のなかに癌細胞が混じってないか尿細胞診という検査を行います。また、痛みの少ないやわらかい電子スコープを用いて膀胱の中を観察したりします。いずれの病気にしても、はやくみつかれば、それだけ体に負担のすくない治療が可能になります。おしっこをしていて、あれ!と思ったら、近くの病院でまず尿検査を受けましょう。
白内障(はくないしょう)
目のなかの水晶体と呼ばれる部分が白く濁る病気。
目の水晶体を構成するたんぱく質が変性し、黄白色または白色に濁ることにより発症する病気です。
白内障が発症する原因として、最も多いのは加齢によるもので、加齢性白内障と呼ばれます。個人差はありますが、水晶体が濁ること自体は年齢を重ねると多くの人に起こることから、一種の老化現象ともいえます。そのほか、アトピー性皮膚炎や糖尿病などの合併症、母親の体内で風疹に感染するなど先天的なもの、目の外傷や薬の副作用などがありますが、これは年齢に関係なく若い人にも起こります。
このほか、白内障発症のリスクを高める危険因子として、喫煙、紫外線、活性酸素、アルコールなどがあります。特に喫煙は米国公衆衛生総監報告においても白内障を引き起こすと判定されています。