アシタノワダイ削除動画@ホンネとタテマエ

アシタノワダイを解説・まとめ・考察する

(漫画)放置絶対禁止!知らないと後悔する病気のサインについて漫画にしてみた【すい臓ガンの初期症状】

信じるか信じないかはあなた次第

 

糖尿病をもっている人が突然、血糖値コントロールが不安定になったり、それまで糖尿病ではなかった方がはじめて診断されたりしたときには注意が必要だ。背後に「膵臓がん」が隠れているケースが、予想以上に多いという研究が発表された。
 「膵臓がん」を早期発見して治療をするための対策も進められており、成果が出はじめている。

 

 

 

 

 

www.youtube.com

 

 

糖尿病の人は「膵臓がん」を発症しやすい 早期発見プロジェクトの成果

糖尿病の人は膵臓がんを2倍発症しやすい

 膵臓がんで亡くなる人の数は増えている。がんの医療は進歩しているが、膵臓がんは5年生存率は約10%と治療が難しいがんだ。日本でも毎年3万人以上が膵臓がんで亡くなっている。

 

 膵臓は体の深部に位置し、胃や腸、肝臓など他の臓器に囲まれており、がんが発生しても見つけるのが難しい。また、早い段階では特徴的な症状もない。

 

 そのため、胃がんや大腸がんのように早期のうちに見つけることは難しく、膵臓がんとわかったときにはすでに進行していることが多い。

 

 糖尿病の人では他の人に比べ膵臓がんが多いことが知られている。日本膵臓学会によると、糖尿病患者が膵臓がんを発症するリスクは、糖尿病でない人に比べ約2倍高い。

糖尿病は膵臓がんの重要なサイン

 糖尿病があることで膵臓がんになりやすくなるのか、それとも膵臓がんの合併症として糖尿病が出てくるのか、良く分かっていない。

 

 そこでフランスなどの国際研究チームが、2型糖尿病と膵臓がんの関連について詳しく調べた。研究チームは、ベルギーとイタリアで実施された、約100万人の2型糖尿病を対象とした後向きコホート研究の結果を解析した。

 

 その結果、がんを発症しなかった患者に比べると、膵臓がんを発症した患者は、短期間で血糖コントロールが悪化し、経口血糖降下薬をインクレチン関連薬やインスリンに切り替えた患者で多かった。

 

 「糖尿病は膵臓がんの重要なサインです。はじめて糖尿病になったときや、糖尿病の症状が突然悪化した場合は、背後に膵臓がんが隠れている場合があるので、注意が必要です」と、フランスのリヨン国際予防研究所のアリス ケックラン氏は欧州がん会議(ECCO)が公開したリリースで述べている。

急に血糖コントロールが悪化 膵臓がんが原因?

 調査の対象となったのは、ベルギーで2008~2013年に治療を受けた36万8,377人、イタリアのロンバルディで2008~2012年に治療を受けた45万6,311人の2型糖尿病患者。研究チームは大規模な処方情報データベースを分析した。

 

 膵臓がんと診断されたのは、ベルギーでは885人、ロンバルディでは1,872人だった。患者の50%は膵臓がんと診断された1年以内に2型糖尿病を発症していることが明らかになった。

 

 膵臓がんと診断された患者は、ベルギーでは25%が、ロンバルディでは18%が、90日以内に2型糖尿病と診断されていた。

 

 詳しく解析すると、服用している経口血糖降下薬をDPP-4阻害薬などのインクレチン関連薬に切り替えた患者では、その3ヵ月以内に膵臓がんと診断された割合が3.3倍に上昇した(95%信頼区間[CI] 2.0~5.5)。

 

 また、経口血糖降下薬をインスリンにに切り替えた患者では、その3ヵ月以内に膵臓がんと診断された割合が11.9倍に上昇した(95%信頼区間[CI] 10.4~13.6)。

 

 「糖尿病のある人が、急に血糖コントロールが悪化した場合は、膵臓がんが原因かもしれません。そうした場合は、医師に相談しがん検診で詳しく調べることをお勧めします」と、ケックラン氏は言う。

膵臓がんを早期発見し生存率を向上 「尾道プロジェクト」

 糖尿病は膵臓がんの重要な危険因子だが、日本膵臓学会によると、膵臓がんと診断された患者が、糖尿病の悪化をがん検診を受けた受診をした理由として挙げた割合は1.5%と非常に少ない。

 

 しかし、近年はがん検診の普及や検査法の進歩によって、膵臓がんの早期発見が可能になってきている。

 

 広島県尾道市で行われている「尾道プロジェクト」は、膵臓がんを早期発見し、がん生存率を大幅に向上するのに成功した例として、全国から注目されている。

 

 「尾道プロジェクト」は、広島県の尾道市医師会が、診療所と膵臓がんの精密検査ができる中核病院が連携した、膵がん早期診断プロジェクトだ。

 

 このプロジェクトは、全国に先駆けて構築された尾道独自の地域包括ケアシステムを生かしたもので、成果を上げている。

膵臓がんの検査は進歩している

 「尾道プロジェクト」では、糖尿病などの危険因子のある人に、かかりつけ医が「腹部超音波検査」を行う。

 

 「腹部超音波検査」(エコー)は、健診や人間ドックで膵臓を調べる検査としてもっとも一般的だ。膵臓がんを発症すると、膵体部や膵尾部の膵管の拡張が起こりやすい。

 

 この検査で膵臓がん自体はみつけくいが、簡便で患者の体の負担が少ないというメリットがある。かかりつけ医により、膵臓がんが疑われた患者は、中核病院で詳しい検査を受けられる。

 

 また、「超音波内視鏡」(EUS)検査は、超音波(エコー)装置をともなった内視鏡で、消化管の中から消化管壁や臓器などの診断をおこなう検査。胃カメラと同じように口から内視鏡を挿入し、先端から発生する超音波を膵臓に当て、がんがないかを調べる。

 

 EUS検査であれば、腹部エコーよりも鮮明な画像が得られ、2cm以下の小さいがんや、がんが見えない段階でも起こる膵管の異常を発見できる。

 

 プロジェクトでは、膵臓がんの危険因子をもつ患者の多くが検査を受け、それまで難しかった早期発見ができた患者が増えた。その結果、5年生存率は20%まで、3年生存率は20〜30%程度まで改善した。

少量の採血だけで膵臓がんを発見

 日本の金沢大学発のバイオベンチャー「キュービクス」は、少量の採血だけで膵臓がんを見つけだす新たな検査手法を開発し、金沢大学付属病院などと共同で臨床試験に取り組んでいる。

 

 金沢大医薬保健研究域の金子周一教授らが開発した膵臓がんを血液で診断する新たな検査キットは、がんの有無を血中にあるRNAという物質の量の変化を遺伝子レベルで測定する「マイクロアレイ血液検査」法を応用している。

 

 体の中に異物が入ってきたり、がん細胞ができると、体が反応しそれを排除しようとする。血液からの排除信号をとらえ、そのもとになるRNAの働き方のパターンを数値化して、がんを発症しているかを判定するのがマイクロアレイ血液検査だ。

 

 この検査方法であれば、CT(コンピュータ断層撮影)、MRT(磁気共鳴画像)、PET(陽電子放射断層撮影)でさえも見つけられない早期のがんを発見することができるという。

 

 検査費用は1回当たり3万~3万5,000円を見込み、2019年中の実用化を目指している。

 

 現在のがんの検診には、身体的負担、時間的拘束といった課題があり、地域によっては検診率が伸び悩んでいる。この検査方法であれば、血液だけの検査のため課題を解決でき、がん検診の受診率向上をはかれると期待されている。

 

患者さんのための膵がん診療ガイドラインの解説(日本膵臓学会)
膵臓がんについて(JA尾道総合病院)
ECCO2017 NEWS: Diabetes or its rapid deterioration can be an early warning sign for pancreatic cancer(欧州がん会議 2017年2月7日)
金沢大学大学院先進予防医学研究科(システム生物学分野)

dm-net.co.jp

 

膵臓がん(すいぞうガン)疾患の解説

疾患の解説

膵がんは50~70歳、特に高齢の男性に多いがんです。膵臓には強力な消化酵素(アミラーゼ、トリプシン、リパーゼなど)を分泌する外分泌腺と、ホルモン(インスリンなど)を分泌する内分泌腺があります。がんはこれらの膵臓細胞から発生する可能性があります。なかでもこれらの分泌液が通る膵管にできるがん(膵管がん)を中心に、膵がんが増えています。膵管がんは膵管上皮細胞の過形成(かけいせい)異形成(いけいせい)から、前がん状態を経て発がんし、膵管上皮内癌になり浸潤(しんじゅん)癌へと進展していくと考えられています。

<占拠部位>

膵がんの診断や治療をするうえで、膵臓を膵頭(すいとう)部、膵体(すいたい)部、膵尾(すいび)部の3つの区分に分けます。膵頭部と膵体部+膵尾部での発症率は3:1です。


膵臓の構造

<膵がんの種類>

膵がんは外分泌系(消化酵素の分泌系)がんと内分泌系(ホルモンの分泌系)がんに大きく2つに分けられます。外分泌系のがんが95%を占め、なかでも膵管の上皮から発生する浸潤性膵管がんが最も多く、全体の85%を占めます。また、最近発見されたがんで、まれにしか発症しませんが、比較的予後のよい粘液産生膵がんがあります。

<病理組織学的分類>

切除した膵がんの断片からがんを顕微鏡で観察し、組織学的に分類することでがんの性質を分類します。

膵がんは上皮性腫瘍と非上皮性腫瘍の2つに大きく分けられます。

上皮性腫瘍はさらに内分泌腫瘍と外分泌腫瘍、両者の併存腫瘍、不明な上皮性腫瘍に分けられます。

<転移>

がんの特徴として転移がありますが、転移にはリンパ節転移血行性転移腹膜(ふくまく)転移などがあります。

リンパ節転移:
リンパ節転移は、がん細胞が発生した部位からリンパの流れにのってリンパ節にたどりつき、そこで増殖することをいいます。次々とリンパ節に移動し、増殖することを繰り返していくと考えられています。そのため、がんの病巣(びょうそう)を切除する際には広範にできるかぎりのリンパ節を切除することが、再発を防ぐために非常に重要です。


膵臓がん転移

リンパ節転移の仕組み
リンパ節転移の仕組み

血行性転移:
血液の流れにのって、他の臓器へたどり着き、そこで増殖することを血行性転移といいます。転移する臓器は血液の流れに関係しています。

血行性転移の仕組み
血行性転移の仕組み

腹膜転移:
腹膜転移は、がん細胞が腹腔(ふくくう)内にちらばることです。多量の蛋白を含んだ腹水がたまり、がん細胞が浮遊した状態になります。

膵がんが転移する可能性があるのはリンパ節、肝臓、腹膜(内臓を包む膜)などです。

膵臓から流れでた血液は最初に肝臓にいきます。膵がん細胞は肝臓内の血管に引っかかり、肝臓転移する可能性があるため、肝臓について注意深く観察していきます。
また、膵がん細胞は腹腔内(お腹のなか)にも散らばりやすく、腹膜(内臓を包む膜)に付着して腹膜転移をおこすこともあります。最近見つかった粘液産生膵がんは膵管内で増えることが多く、あまり浸潤(しんじゅん)しないといわれています。

症状

膵がんは初期には無症状のことが多いため、早期には極めて発見しにくいがんです。

通常、膵管がんが進行してくると、上腹部痛、体重減少、黄疸の症状がでてきます。上腹部痛は最も多く見られる症状で、食事とは関係なく、背中の痛みや夜中の痛みなどが激しく続くのが特徴的です。膵臓の周囲にはたくさんの神経が分布しているため、がんが浸潤(しんじゅん)すると神経を侵しやすく、そのため痛みも強くなります。

体重減少は特徴的な症状で、がん細胞の増殖によって悪液質(栄養不良のためやせて、衰弱した状態)や十二指腸への浸潤、消化酵素の分泌低下、食欲減退など進行するとともに激しくなります。

肝臓は、体内の老廃物を胆管を通して腸に送り排出しています。膵がんが大きくなり胆管もつまってくると、この排出機能が働かなくなり、胆汁中にあるビリルビン(赤血球の老廃物)が体内にたまり、黄疸がおこります(閉塞性(へいそくせい)黄疸)。

このような症状の発生はがんの部位によって特徴があります。膵頭(すいとう)部上部のがんでは黄疸、膵頭部中央のがんでは黄疸と腹痛、膵頭部下部のがんでは黄疸は見られず腹痛が主な症状です。

また、膵体(すいたい)部がんと膵尾(すいび)部がんでは黄疸は見られず、腹痛や背中の痛みが主な症状です。

粘液産生膵がんでは粘液により引きおこされる、上腹部痛などの急性膵炎症状があらわれ、比較的早期に発見される膵がんの1つで生存率も良好です。

閉塞性黄疸
閉塞性黄疸

検査:生化学的検査

血液検査で膵臓の酵素や腫瘍マーカー値、ビリルビン値の動きをみることにより膵臓機能の異常、膵がんを発見できることがあります。

膵がんにより膵管がつまると、膵管を流れている膵液がたまり、アミラーゼ、リパーゼ、エラスターゼなどの膵臓の酵素が血液中にでてきます。そのため、血液検査でこれらの酵素が高値を示したときは、膵臓の病気の疑いがあります。また、ALP、γ‐GTPなどの胆道系酵素の上昇もおこるので、このような結果が出たときは、胆道系疾患だけでなく膵頭(すいとう)部の異常も疑う必要があります。

腫瘍マーカーは腫瘍が大きくなるにつれて、血液中の濃度が上昇します。しかし、膵がんだけに特異的なマーカーではなく、膵炎でも陽性となることがあるので注意が必要です。

検査:CT検査

検査イメージCT検査は身体にあらゆる角度からX線照射し、得られた情報をコンピューターで解析するものです。造影剤を使う場合と使わない場合がありますが、造影剤を用いる方法では病変がより鮮明に描き出され、検査したい臓器やその周辺をミリ単位の断層写真として観察できます。CT検査の結果はX線検査や内視鏡検査の結果と総合して病気を判定することに役立っています。また、がん治療(化学療法放射線療法など)の効果の把握などにも用いられています。

膵臓の場合は造影剤を静脈から注射して行うダイナミックCT検査によって、鮮明な画像を映し出すことができるようになりました。膵がんの診断だけでなく、膵がんで心配な肝臓やリンパ節への転移や、周りの臓器への浸潤(しんじゅん)の確認が可能です。また、手術の判断にも役立っています。膵頭(すいとう)部がんでは、腫瘍部がやや黒くなり、それより末梢の主膵管がやや拡張します。膵体(すいたい)がん、膵尾(すいび)部がんでも同じ像が映し出されます。これにより腫瘍部より先にどのくらい正常組織が残っているか推測できます。

検査:PET検査(Positron Emission Tomography)

検査イメージPET(陽電子放射断層撮影)検査は、がん細胞が正常細胞よりも糖分を多く必要とする性質を活かし、陽電子を放出するブドウ糖に似た薬剤を利用し、体内での薬剤の分布を画像化する診断法です。CT検査やMRI検査が形態を画像化するのに対し、PET検査は細胞の活動性に応じて薬剤が集まる原理を利用することで、細胞の代謝の状態を画像化する検査です。また、PET検査は1回の検査で全身において、がんの検査を行うことができることが大きな特徴です。

しかし、全てのがんをPET検査で早期に発見できるわけでありません。薬剤の集積が少ない性質のがんもありますし、消化管粘膜に発生する極早期のがんの発見は困難です。また、薬剤は炎症部にも集まる性質をもつため炎症部とがんとの区別が難しいという問題もあります。

PET検査で発見されやすいがんとしては、肺がん、食道がん、膵臓がん、大腸がん、乳がんがあげられ、さらに、いままでの検診では見つけることが困難であった甲状腺がん、悪性リンパ腫、卵巣がん、子宮体がんが発見できることが期待されています。他胃がん、腎がん、尿道がん、膀胱がん、前立腺がん、肝細胞がん、胆道がん、白血病など場所によっては有用性が低い場合があるともいわれています。

平成22年4月から、PET検査は早期胃がんを除く全ての悪性腫瘍に保険が適応されるようになりましたが、他の検査や画像診断により病期診断、転移・再発の診断が確定できない場合に限定されています。その他の適応外の疾患や検診として受診する場合には全額自己負担となるため、かなり高額な検査になります。また、薬剤の製造装置および撮影装置の設備費用が非常に高く、検査可能な医療機関は限られています。

検査:腹部超音波検査

検査イメージ腹部にゼリーを塗って体表から生体内に超音波パルスを入射し、体内の組織から反射してくる超音波を感知し、その強弱差を画像にする検査方法です。肝臓、膵臓、胆道をはじめとする腹部の検査に欠かせない検査として位置づけられています。簡便で患者さんの身体に負担が少ないというメリットがあります。超音波検査では、手術前、手術後(再発)、がんの壁外への進展や肝臓への転移などのチェックをするのに役立つ検査法です。

膵頭(すいとう)部がんでは腫瘍部分が黒くなり、膵体(すいたい)部、膵尾(すいび)部の主膵管の拡張がみられます。デメリットとして、技術の差により映し出される像に差が出やすいことや、身体の構造上、腸管ガスが重なり合いやすく、膵臓全体を見ることができないことがあります。

検査:超音波内視鏡検査(Endoscopic ultrasonography:EUS)

超音波内視鏡検査(EUS)は組織の構造が変化する部位で、音波が跳ね返ってくる現象(エコー)を利用して、跳ね返りの強さや部位を画像として映し出す検査です。体表からの超音波検査では胃や腸の中の空気や腹壁、腹腔(ふくくう)の脂肪、骨が、エコーをとらえて画像にする際に妨げになることがあります。また、体表からのエコー検査では検査目的とする対象臓器近辺までの画像を得るために超音波の減衰が少ない比較的低周波数の超音波により検査を行いますが、低周波数の超音波検査では分解能に限界があり、高い分解能を持った詳細な画像情報が必要となるがんの壁深達度(へきしんたつど)診断などには適しません。その欠点を改良したものが、超音波内視鏡検査です。超音波内視鏡は、内視鏡先端部にエコーを送受信する「超音波振動子」を兼ね備えた内視鏡です。

特に膵臓は身体の奥にあるため、膵臓の手前にある胃や腸のなかの空気や腹壁、腹腔(ふくくう)の脂肪が邪魔をして、通常の体表からの超音波検査では、エコーをとらえにくいという問題があります。そこで、膵臓の近くの胃や十二指腸から超音波(内視鏡)検査をすることで、膵臓の詳細なエコー像を確認できる超音波内視鏡検査が役立っています。
超音波内視鏡検査では、超音波が胃など体腔内に溜まったガスを透過できない為、超音波振動子と観察部位との間に水を介在させて対応(脱気水充満法等)をしています。

超音波内視鏡先端部
超音波内視鏡先端部

脱気水充満法
脱気水充満法

超音波内視鏡画像
超音波内視鏡画像

膵管腔内(すいかんくうない)超音波検査(Intraductal ultrasonography:IDUS):
十二指腸乳頭(にゅうとう)部から主膵管へ細い超音波プローブを挿入し、主膵管や膵臓の観察もできるようになり、より詳細な画像情報を得ることが可能になりました。超音波プローブとは、内視鏡の鉗子口から挿通する細径タイプのプローブで、先端に超音波(エコー)が送受信できる超音波振動子を備えており、超音波内視鏡では挿入できない細い胆管・膵管に挿入することが可能です。

超音波内視鏡ガイド下穿刺(Fine needle aspiration:FNA):
病理(びょうり)検査を行うために、超音波内視鏡で膵臓周囲を確認しながら、穿刺(せんし)と呼ばれる方法で膵臓の細胞を採取する超音波内視鏡ガイド下穿刺(Fine needle aspiration:FNA)が行われることもあります。FNAでは、超音波内視鏡を挿入し、胃から膵臓の腫瘍に針を刺して細胞を採取します。体外からの組織採取(バイオプシー)とくらべて、病変部まで最短のルートで採取が出来るものです。そのため、体外からでは検出不可能な病変組織や、小さな病変などが採取しやすい特徴があります。

超音波プローブ(IDUS)
超音波プローブ(IDUS)

超音波内視鏡(FNA用)の先端部
超音波内視鏡
(FNA用)の先端部

検査:内視鏡を用いた検査方法

(1)内視鏡的逆行性胆膵管造影法 (Endoscopic retrograde cholangiopancreatography:ERCP)

内視鏡的逆行性胆膵管造影法(ERCP)は、膵液が膵管から十二指腸へ流れる出口となっている十二指腸乳頭(にゅうとう)部から内視鏡を介して造影剤を注入し、膵管をX線撮影する検査です。膵がんの大部分を占める膵管がんを見つけるのに重要な役割を果たしている検査です。描出能が優れているうえに、X線透視下で膵管の生検(せいけん)(細胞の採取)や膵液の採取なども可能で、病変部の詳細な情報が得られます。


ERCP

膵頭(すいとう)部がんや膵体(すいたい)がんでは膵管の閉塞(へいそく)が、膵尾(すいび)部がんでは狭窄(きょうさく)や断裂が観察され、ERCPを併用(へいよう)し、病理検査を行った結果の膵臓がんの発見率は93%と最も高率に異常を検出しています。

一方、デメリットとして急性膵炎をおこす危険性や、技術的な難しさ、患者さんにとって負担が大きいなどがあります。

(2)膵管鏡

膵管鏡は内視鏡を膵管内に挿入して観察を行う方法で、膵管内乳頭腫瘍や膵がんの観察が可能になります。

一般的に経口的に行われる膵管鏡は親子スコープという2本のスコープを用いて、十二指腸乳頭部から膵管内に内視鏡(子スコープ)を挿入して観察します。親スコープで乳頭と膵管口を切開(内視鏡的乳頭切開術)し、続いて内視鏡(子スコープ)を膵管内に挿入します。


膵管鏡

検査:MRI検査、MR胆膵管撮影(MRCP)

検査イメージMRI検査は磁気による核磁気共鳴現象を利用して画像に描き出すものです。MRI検査の結果はX線検査や内視鏡検査の結果と複合して、総合的な判定に役立っています。

MR胆膵管撮影(MR cholangiopancreatography:MRCP)

MRI検査の一種で、MRIの機械でスキャンするだけで膵管像を見ることができます。ゆっくりと膵液の流れの動きを観察し、膵管の像を映し出します。膵がんの大部分は膵管壁から発生するため、膵管壁の異常な像を見つけだすのに役立ちます。造影剤を使わなくてよいこと、内視鏡的逆行性胆膵管造影法(Endoscopic retrograde cholangiopancreatography:ERCP)に比べると、細い分枝や画像の鮮明さにおいては劣りますが、何より患者さんの身体に負担が少なく、全体像を描き出すことができる点で有用です。また技術による診断の差があまりでないこと、主膵管ががんでつまっていても、その先の部位を観察することが可能であること、急性膵炎や内視鏡を膵管に挿入できない状況でも行うことができるなどのメリットがあります。

一方、肥満や腹水がたまっていると画像が劣ることがあり、また、心臓ペースメーカーをつけている患者さんには行えないなどのデメリットがあります。

検査:腹部血管造影検査

血管にカテーテル(細い管)を通して造影剤を注入し、膵臓に分布している血管をX線撮影する検査法です。病変の範囲だけでなく、血管や周囲の臓器への浸潤(しんじゅん)を詳しく観察できるので、手術のために必要な情報を得ることができます。しかし、近年患者さんの身体に負担の少ない検査法、CT検査やMRI検査が発達したため、役割は減少してきています。

膵がんの診断以外に、炎症により膵臓や周囲臓器の血液の流れが激しく変化する膵炎の診断・治療のために行うことがあります。

病気・がん膵臓がん(膵がん)の治療と予防

治療:手術

膵がんの治療の中心は手術です。膵臓にあるがんを摘出するのが最善の方法ですが、膵臓全体の摘出はあまり行いません。膵臓の機能には消化に大きな働きをする外分泌機能と血糖コントロールを担う内分泌機能があります。この機能をすべて失ってしまうと、栄養障害をおこし、血糖コントロールが不良となり、患者さんのQOL(生活の質)が悪くなります。そのため、膵臓の広い範囲に浸潤(しんじゅん)している以外は区分に分けて切除するようになりました。

膵頭(すいとう)部がんでは膵頭部以外に胃・十二指腸、総胆管、胆のうを一緒に取り除きます。手術後の消化機能を保つため、胃の幽門(ゆうもん)部(十二指腸に近い部分)を残すようにしています。膵体(すいたい)部がんと膵尾(すいび)部がんでは膵頭部を残して切除します。

膵臓の周りは重要な臓器があり、手術後の合併症の問題もあります。膵がんは浸潤しやすいがんであるうえ、早期発見が難しい反面、小さければ切除できる可能性が高くなります。最近では技術の向上もあり、積極的に手術を行うようになりました。

治療:化学療法

重い合併症がなく、肝臓、腎臓、骨髄機能に問題がなければ、抗がん剤を用いた化学療法を行います。膵臓には血管が豊富でないため、抗がん剤だけでがんを縮小させることは困難なのが現状です。

肝臓へ転移したがんに対する効果を期待して、カテーテル(細い管)を動脈内に挿入し、抗がん剤を直接がんに送り込む方法もとられています。

化学療法イメージ

治療:放射線療法

膵がんは放射線に感受性が低いため、単独ではなく、抗がん剤(化学療法)と組み合わせて、効果を高める併用(へいよう)療法が行われます。

治療:内視鏡による治療法(ドレナージ)

膵頭(すいとう)部がんは、膵管ががんで侵されると、胆管と合流している部分がふさがれてしまい、胆汁が胆管内に滞ってしまいます。このような時に、開腹手術をせずに、内視鏡を用いて、チューブを留置させることにより、たまった胆汁を排出できるようになりました。対症療法としてドレナージを行います。
乳頭(にゅうとう)、胆管、膵管で行う処置のため、膵炎や穿孔(せんこう)、出血、胆道炎などもまれに起こることもあります。

十二指腸乳頭(ファーター乳頭)の開口の確保:
まず、チューブを胆管に挿入したり、また胆石や胆汁を排出する為に、状況に応じて、十二指腸乳頭の開口部を広げる必要があります。十二指腸乳頭開口の確保の方法として、主に2つの方法があります。

(1)内視鏡的乳頭括約筋(かつやくきん)切開術(Endoscopic sphincterotomy:EST):
内視鏡を十二指腸まで挿入し、胆管の出口にあたる乳頭部にEST用ナイフを挿入し、高周波を用いて切開し、ひろげる方法で胆汁が流れ出るようにします。


EST


EST用ナイフ

(2)内視鏡的乳頭バルーン拡張術(Endoscopic papillary balloon dilatation:EPBD):
乳頭部を跨ぐようにバルーンダイレーターをおき、バルーンに生理食塩水などを注入して膨張させることで乳頭を拡張する方法です。


EPBD


EPBD用バルーンダイレーター

胆管ドレナージ術:
胆管にたまった胆汁を排出するために、胆管にチューブを挿入します。挿入する経路により、いくつか方法があり、状態に応じて、方法を選択します。

(3)内視鏡的経鼻(けいび)胆管ドレナージ(Endoscopic nasobiliary drainage :ENBD):
総胆管結石(けっせき)で胆管炎や閉塞性(へいそくせい)黄疸をおこした場合にも行われます。
ドレナージチューブ(細い排出用の管)を用いて胆汁を鼻から体外に出す方法です。この方法は(1)胆汁の性状や量を把握できること、(2)チューブの取り外しが簡単なこと(3)洗浄が可能なこと(4)胆管の造影ができることなどのメリットがあります。


ENBD


ENBD用ドレナージチューブ

(4)内視鏡的逆行性胆管ドレナージ(Endoscopic retrograde biliary drainage:ERBD):
内視鏡的逆行性胆膵管造影法( Endoscopic retrograde cholangiopancreatography:ERCP)を治療に応用したもので、胆管の十二指腸への出口である十二指腸乳頭へ内視鏡を用いてドレナージチューブ(細い排出用の管)を挿入していき、胆汁の流れを維持する方法です。


ERBD


ERBD用ドレナージチューブ

予防

膵がんの危険因子として、膵炎、胆石症、糖尿病があります。膵臓の炎症を繰り返しおこしていると、がん化しやすくなります。また、がんが存在していて、炎症を繰り返す場合もあります。慢性膵炎急性膵炎もともに膵がんの発症と関係があります。糖尿病を患っている方も発生率が高いといわれています。

生活習慣については、危険因子として、コーヒーの多飲や喫煙、肉食傾向、肥満が膵がんの発生する確率を高くするといわれています。

適度な運動をし、肥満を防いで、喫煙や食生活の改善を心がけることでリスクを減らすことが大切です。

食生活イメージ

www.onaka-kenko.com