信じるか信じないかはあなた次第
「地獄に落ちるわよ！」の"名言"で一世を風靡した細木数子。テレビに頻繁に出ていたころは、自ら考案したという「六星占術」によって、さまざまな芸能人の未来・吉凶を予言していました。
- ｢なぜ細木数子は視聴率女王になったのか｣テレビが絶対に触れない"魔女"の来歴
- 細木数子の「外れた予言」を打線形式で振り返る
- 1（中）見栄晴 「お前なんか結婚できるわけない」⇒数週間後に結婚会見
- 2（右）ジーコ（当時サッカー日本代表監督）「2004年はダメ。解任になる」⇒04年アジアカップ優勝・06年の契約満期まで続投
- 3（ニ）中日ドラゴンズ 「今年（2006年）の優勝はないね」⇒6月から1度も首位を明け渡さずに優勝
- 4（一）堀江貴文（当時ライブドア社長） 「あんたの背中には龍がついてるよ」と絶賛⇒23日後に逮捕
- 5（捕）朝青龍（当時横綱） 「将来、相撲協会の理事長になる」⇒泥酔暴行事件で相撲協会を追われる
- 6（遊）おさる 「『モンキッキー』に改名したら1～2年で冠番組を持てる」⇒8年間冠番組を持てず、元の「おさる」に戻す
- 7（左）くりぃむしちゅー 「芸名を『グリーン&ピンク』にしたほうが売れる」⇒改名を拒否し、今なお売れ続ける
- 8（三）中村紀洋 「5～6年後に自殺する」⇒現在も存命
- 9（投）田代まさし 「あんた、これからどんどん良くなるよ」⇒その後も覚せい剤所持などで逮捕される
｢なぜ細木数子は視聴率女王になったのか｣テレビが絶対に触れない"魔女"の来歴
1983年、安岡正篤と出会う。彼女と親密だった男が安岡を招いた食事会を催し、そこで知り合ったといわれているそうだ。当時の安岡は年のせいか、やや認知症気味だったというが、高名な学者も、女ざかりの色香に迷ったのだろうか。
『魔女』の中で、ある女性に細木は、どうやって安岡をたぶらかしたのかを問われ、
「お酒よ、お酒。家じゃ飲ませてもらってないようだから、わたしが好きなだけ飲ましてる。お酒で“殺した”のよ」
その女性が細木のところを訪ねると、四畳半の部屋に吉田松陰や山本五十六などの掛け軸をおさめた箱が50個ほど積まれていたというが、安岡の資産の一部だろう。
安岡に結婚誓約書を書かせ、晴れて結婚するが、その直後に安岡は死去してしまう。彼女は安岡の初七日に籍を抜き、その礼として安岡の蔵書1万2000冊をもらったという。だが、細木はそれを韓国の「檀国大学校」へ寄贈してしまう。
女傑か、それとも稀代のトリックスターか
私が細木について多少知っているのはここまでで、テレビに出て毒舌を吐き、視聴率の女王になっていたころは、興味もなく見もしなかった。
溝口は『魔女』の中で、いたずらに不安感や恐怖感を与える占い師を番組で重用するテレビ局は社会的責任の自覚がないと批判している。
細木は週刊現代の連載を止めるために暴力団幹部を使ったことを溝口に暴露され、観念したのか、裁判所の和解提案に応じた。実質的な敗訴である。2008年にテレビからの引退を表明した。
テレビに出ていなくても、“信者”たちを集めて講演料や命名料、墓などを押し売りしていると週刊誌などで何度か報じられた。
貧しい中で育ち、腕一本で成り上がった女傑か、多くの男をたぶらかし、見よう見まねで覚えた占いを武器にテレビ界の寵児にまでなった稀代のトリックスターか。評価は分かれると思うが、私にとっては、人生の一瞬、袖すり合っただけだが、忘れがたい女性の一人ではあった。冥福を祈りたい。（文中敬称略）
細木数子の「外れた予言」を打線形式で振り返る
「地獄に落ちるわよ！」の"名言"で一世を風靡した細木数子。テレビに頻繁に出ていたころは、自ら考案したという「六星占術」によって、さまざまな芸能人の未来・吉凶を予言していました。
その中には、広末涼子の近日中の結婚、AKBブレイク前の秋元康の大成功など、見事に的中させたものもありますが、外れた予言ももちろん存在しています。そこで今回、細木数子の「外れ予言」の中から9つピックアップし、打線を組んでみました。1（中）見栄晴 「お前なんか結婚できるわけない」⇒数週間後に結婚会見
細木先生がこれまでに「結婚できない」と断じてきた出川哲朗、渡辺満里奈、セイン・カミュ、神田うのなどは、その予言に反して、ことごとく結婚していきました。
そして見栄晴に対しても、「金もなくて、飲む・打つ・買うの男が、嫁などもらえるはずがない！」と説教モード全開でまくしたてたものの、その数週間後に見栄晴は結婚会見を開いていました。2（右）ジーコ（当時サッカー日本代表監督）「2004年はダメ。解任になる」⇒04年アジアカップ優勝・06年の契約満期まで続投
たしかに就任当初から、コンセプトのない場当たり的采配に終始するジーコの手腕は、素人目から見ても疑問符を付けざるを得ないものでした。
細木先生もサムライブルーの将来を案じてか、ジーコの早期解雇を予想。しかし、2004年はアジアカップで優勝するなど、代表にとっては飛躍の一年に。結果を残したジーコは無事、2006年ワールドカップ終了後まで指揮をとることになったわけですが、本大会での敗退劇を考えれば、JFAは細木先生の助言に、注意深く耳を傾けておくべきだったのかもしれません。
3（ニ）中日ドラゴンズ 「今年（2006年）の優勝はないね」⇒6月から1度も首位を明け渡さずに優勝
スポーツについての未来予見が少し苦手なのか、「セ・リーグで優勝しない球団」という5／6の確率で当たる予言も、まさかの不正解。
とはいえ、有名なプロ野球解説者や球界の重鎮でも、シーズン前の順位予想など毎年ことごとく外しているのだから、致し方ない部分もあるでしょう。4（一）堀江貴文（当時ライブドア社長） 「あんたの背中には龍がついてるよ」と絶賛⇒23日後に逮捕
2006年元旦の生放送特番で、当時時代の寵児としてもてはやされていた堀江貴文を、「あんたの背中には龍がついてるよ」と大絶賛。
しかしそのわずか23日後、 証券取引法違反の疑いでホリエモンは逮捕され、その後実刑に。この影響でライブドアの株価は10分の1にまで暴落し、上場廃止の憂き目にあってしまうのでした。5（捕）朝青龍（当時横綱） 「将来、相撲協会の理事長になる」⇒泥酔暴行事件で相撲協会を追われる
細木先生を「日本のお母さん」として慕っていたドルジこと元横綱・朝青龍。度重なる問題行動で世間を騒がしながらも、朝青龍を可愛がっていたからか、「未来の相撲協会の理事長になる」と太鼓判を押します。
しかし2010年1月、泥酔暴行事件の影響で大相撲の世界を去るという結果になってしまいました。6（遊）おさる 「『モンキッキー』に改名したら1～2年で冠番組を持てる」⇒8年間冠番組を持てず、元の「おさる」に戻す
細木先生といえば「改名」。特に有名なのが芸人・おさるに与えた「モンキッキー」なる芸名です。
「1～2年で売れっ子になる」とのお墨付きを胸に、8年間「モンキッキー」として仕事に励んだものの、結局は改名前と状況はさして変わらず。2012年には、元の「おさる」に戻しています。7（左）くりぃむしちゅー 「芸名を『グリーン&ピンク』にしたほうが売れる」⇒改名を拒否し、今なお売れ続ける
2000年代前半に起こったお笑いブームの波に乗り、ブレイクしたくりぃむしちゅー。既に「海砂利水魚」から現コンビ名に改めていた彼らへ、細木先生は三度目となる名義変更を提案。
くりぃむしちゅーはやんわりと断りましたが、仕事においては依然絶好調です。
ちなみに先生は、くりぃむが断ったこのネーミングに思い入れがあるのか、次長課長にも「ピンク&グリーン」への改名を薦めていました。（次長課長も改名を拒否）。8（三）中村紀洋 「5～6年後に自殺する」⇒現在も存命
そして、改名の次に多く披露していたのが、死亡予告。
劇団ひとりには「心臓病で40歳までに死ぬ」、杉浦太陽には「30歳で自殺する」、ドン小西には「へその上に手遅れに近いガンがある」などと余命&難病を宣告していました。
中村紀洋にも2005年に「5～6年後に自殺するよ」と断言していましたが、今も元気に生きてます。9（投）田代まさし 「あんた、これからどんどん良くなるよ」⇒その後も覚せい剤所持などで逮捕される
マーシーを「どんどん良くなる」評した先生。しかし、マーシーはその後も度重なる犯罪行為によって、ついには芸能界追放状態に追い込まれました。
このように、多種多様な外れ予言もしてきた細木先生。ちなみに、いろいろな人の「死」を宣告していましたが、本人曰く、自身は250歳まで生きる見通しなのだといいます。
（こじへい）
