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【JAが警告】来年、米が食べられなくなる【食糧危機】@アシタノワダイ

信じるか信じないかはあなた次第

 

 

 

【JAが警告】来年、米が食べられなくなる【食糧危機】@アシタノワダイ

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日本自給自足100%プロジェクト(【食糧危機】JAが警告 来年、米がなくなります)

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資材高が経営に打撃 稲作、酪農で深刻 農中総研試算

 ウクライナ危機などで肥料や飼料の価格が高騰する中、農家経営が打撃を受け、品目や規模によっては赤字も見込まれることが農林中金総合研究所の推計で分かった。稲作の個人経営は米価下落や肥料高騰の影響で、20...

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稲作の現状とその課題について

https://www.maff.go.jp/j/syouan/keikaku/soukatu/attach/pdf/index-86.pdf

 

「農家に影響はない」は本当か(月間現代農業)

 自家増殖が許諾制になるのは、ごく一部の品種だけだから大丈夫って本当?

 現在利用されている品種のほとんどは一般品種(登録外品種)だから問題ない。農水省は、そういってますが……。

登録品種は米17%、ブドウ13%、野菜9%

 農水省のホームページを見ると、種苗法に関する「よくある質問」に似たようなQがあって、回答には「現在利用されているほとんどの品種は一般品種であり、許諾も許諾料も必要ありません」とある。

「一般品種」とは品種登録されていない、または登録が切れた品種のこと(登録外品種)。地域に根付いた在来種もこれに当たる。これらは現在も、そして種苗法が改定されたとしても、農家の自家増殖は原則自由。自分で採ったタネや穂木を譲ったり売ったりするのも問題ない。

 農水省は別の資料(「種苗制度をめぐる現状と課題」)に、品目ごとの登録品種の割合を挙げている。米17%、ミカン3%、リンゴ5%、ブドウ13%、ジャガイモ10%、野菜9%。つまり登録品種は全体のごく一部であり、今後もほとんどの品種は自由に自家増殖できる。だから農家への影響はありませんよ、安心してくださいよ、というわけだ。江藤拓・前農林水産大臣もよく紹介した数字なのだが、鵜呑みにしていいんだろうか?

「ほとんどは一般品種」のカラクリ!?

 農水省の担当者によると、米の17%という割合は「米穀安定供給確保支援機構」が発表している資料から算出したという。下表がその抜粋(19年産)。登録品種(太字)の割合を足すと、確かに16.9%となる――。

 

水稲の作付け割合(%)
品種名 割合
コシヒカリ 33.9
ひとめぼれ 9.4
ヒノヒカリ 8.4
あきたこまち 6.7
ななつぼし 3.4
はえぬき 2.8
まっしぐら 2.2
キヌヒカリ 2.1
あさひの夢 1.7
ゆめぴりか 1.6
きぬむすめ 1.5
こしいぶき 1.4
つや姫 1.2
夢つくし 1
ふさこがね 0.9
つがるロマン 0.8
あいちのかおり 0.8
彩のかがやき 0.7
天のつぶ 0.7
きらら397 0.7
その他 18.1

太字が登録品種。ただし、あさひの夢は20年3月、つがるロマンは9月に登録切れ

 

 いや、でも変だ。その他の18.1%に登録品種はひとつもないのか。そんなはずはない。新潟県の「新之助」や宮城県の「だて正夢」、富山県の「富富富」など、近年は各県が魅力ある新品種を次々出している。それぞれの面積はまだ小さいが、当然すべて登録済み。「その他」には、そんな登録品種が多く含まれているはずだ。

 また、「コシヒカリ」や「ヒノヒカリ」は登録外品種だが、この統計ではその内に、それぞれ「コシヒカリ新潟BL」(いもち病抵抗性を持つ登録品種)や「コシヒカリ富山BL」「ヒノヒカリ関東BL」など、改良された登録品種も含んでいる。例えば新潟県では、コシヒカリのうち97%がBL品種。およそ7万haもつくられていることになる。農水省はそれらを無視して「米は17%しか登録品種が栽培されていません」といっているわけだ。

 さらに、地域別にみれば、新潟県では「コシヒカリBL」や「こしいぶき」「ゆきん子舞」など、水稲面積の約85%で登録品種を作付けている(県農産園芸課、19年産)。青森県でも「まっしぐら」や「青天の霹靂」などの作付け面積が増えて、97.3%が登録品種だ(県農産園芸課、18年産。ただし、28.6%を占める「つがるロマン」は今年9月に登録切れ)。

 ブドウでも、栽培の多い大粒種に絞ってみると、トップ産地の山梨県では27.4%、長野県では30%、山形県では56.4%が登録品種となる(農水省、17年産)。

 さらに、農水省が言及しない品目もいくつか調べてみると、例えば北海道の小麦ではなんと99%、大豆では86%が登録品種だった(道農産振興課、18年産)。同様に、茨城県のサツマイモでは約37%(農水省、16年産)、沖縄県のサトウキビでは、少なくとも55%以上が登録品種である(県糖業農産課、17年産)。

 野菜の「9%」というのも、誤解を招きそうな数字だ。ほかは栽培面積から算出しているのに対し、野菜だけは全品種数(日本種苗協会の「野菜品種名鑑」に掲載された品種数)に占める登録品種数の割合だ。名鑑には、もうほとんどつくられていない品種もかなり載っている。「9%」は栽培の実態を表わしているとはいえないだろう。また、「野菜」とひとくくりにするのは乱暴だ。産地で栽培されているエダマメやエンドウ、ソラマメやレタスではどうか。自家採種しているかどうかは別にして、登録品種の割合はけっこう高いのではないだろうか。

登録品種の割合は今後も増えるはず

 さらにいえば、一部の品目では登録品種が占める割合は年々上がっていて、今後はもっと上がりそうだ。今回の種苗法改定案には、品種登録のハードルを下げるため、1件につき4万7200円の出願料の上限を1万4000円に、3万6000円の登録料の上限を3万円に引き下げる内容もあるからだ。

 個人育種家の負担が減るという点ではおおいに賛成だが、農水省は、一方で登録品種をどんどん増やそうとしていながら、一方で「登録品種は少ないから大丈夫ですよ」といっていることにならないだろうか。

 でも、許諾料はすごく安いんでしょ?

 農水省はそういってますが、まだ決まったわけじゃありません。

「法律が改定されてから検討する」

 登録品種を自家増殖する場合、許諾料(ロイヤリティ)が高かったり、余計な事務手続が増えたりしないのか。農水省の答えは「農業者の利用が進まない許諾料となることは考えられません」「コストの増大は想定されません」。やはり心配ご無用というわけだが、巷には、農家の種苗コストが跳ね上がると指摘する人もいる。この点、賛成派と反対派の意見は大きく食い違っているのだ。

 結論から先にいえば、答えはまだわからない。種苗法が改定された場合の許諾料やその手続きについて、育成者側がまだ何も決めていないからだ。試しに米どころやイチゴの産地を抱える数県に問い合わせてみるも、「法律が改定されてから検討する」との回答。なかには「他の県はどうされるんですかね?」という担当者もいた。

 一方、農水省は、一部の試験場が設定している「許諾料」の例を挙げている(図1)。例えばイネでは10a当たり(種モミ4kg分)の種苗代1600円のうち、3~16円程度。ブドウでは苗木1本4000円のうち同60~80円程度だという。

 

図1 農水省が挙げる「許諾料」の例 (出典:「種苗制度を巡る現状と課題」)

 

 これを見ると確かに安いが、ちょっと待ってほしい。これを、「農家が自家増殖する際に必要な許諾料」と考えていいのだろうか。現在、イネやブドウは自家増殖が原則自由である。正規に入手した種モミや苗木であれば、自家採種や接ぎ木に現時点では許諾料など必要ない。

 とある県の担当者に聞いてみると、「うちは一番高いイネの品種で、10a当たり約3円。『登録品種の利用料』として、主に種苗生産者を通じて、種モミの販売料金の数%という形でいただいている。自家増殖に対する許諾料というわけではない」という。つまりこれは、生産農家が自家採種をしようがしまいが支払っているお金であって、「自家増殖の許諾料」とは別物。この県も、今後の対応はまだ決めていない。イネの自家増殖に対する許諾料が10a当たり約3円になるとは限らない。

許諾料が法外に高くなるとは考えにくい

 もちろん、公的機関(国や県の農業試験場)が今後、急に高額な許諾料を要求するとは考えにくい。公的機関は国民の税金を使って、農業の発展のために育種しているのであって、種苗費で稼ぐのが目的ではない。許諾料が高くて新品種が敬遠されれば、本末転倒である。

 先に挙げた米やブドウ、サトウキビなどは、いずれも公的機関で育種された品種がほとんどを占める。農家が自分で苗を増やすイチゴもそうだ。自家増殖はこれまで通りできるはずだし、その許諾料もそう高くならないと期待したい。少なくとも、インターネットで一部話題になっているような「イチゴ農家は苗代として年間100万円も出費が増える」とは考えにくい。

 民間の種苗メーカーだって、基本は同じだと思う。農家に儲けてもらいたい、多くの消費者に喜んでほしいと開発する品種だ。自家増殖したいという農家に、高額な許諾料は課さないと信じたい。

 許諾手続きは誰かがやってくれるんでしょ?

 農水省はJAに期待していますが、全中は農家の自家増殖を許諾制にすることに反対しています。

許諾手続きに生じるコストも農家負担

 では、実際に自家増殖を続ける場合、その許諾は誰がどのようにとるのか。農水省は「自家増殖の許諾手続きは、農業者の事務負担が増えないように、団体がまとめて受けることもできます」というが、その団体として期待されている当のJA全中は、農家の自家増殖を許諾制とすること自体に、反対している(2月号、4月号)。

「許諾手続きが円滑に進むように、契約書のひな形(図2)を作成、配布予定であることから、現場での事務負担が過度に増加することは想定されない」ともいうが、実際はどうだろうか。

 

図2 農水省が作成した「許諾契約書」のひな形
(出典:「種苗制度を巡る現状と課題」)

 

 例えばイチゴでいえば、農家は次作のために用意する苗の数を決め、用紙に記入してJAに報告。その数に応じて許諾料を計算し、指定された口座に振り込む。育成者権者(公的機関や種苗メーカー)との許諾や許諾料の直接のやり取りは、JAがとりまとめて代行する。この場合、JAは当然、申告した増殖数が実態と合っているか、つまり不正をチェックする義務も負うはずだ。

 この通り、農家の手間はもちろんだが、JAの担当者が大きな負担を強いられるのは、容易に想像できる。「契約書のひな形」を配るくらいで軽減されるとは思えない。JA全中が自家増殖原則禁止に異議を唱えた理由のひとつには、職員の事務負担増大への懸念もある。

 そしてもちろん、その仕事はJAもタダではできない。農水省からはなんの説明もないが、これも間接的に農家が支払うことになるはずだ。

 農水省や大臣は、農家や消費者が種苗法改定に反対するのは、「誤解のせい」っていってますよ?

 確かに「デマ」も多いが、不誠実な説明をしているのは農水省ではないだろうか。

反対するのは理解不足だから?

「この種苗法(改定)によって農家が非常に厳しい立場に追い込まれるんじゃないかと(インターネット上で)発言された方もおられると聞いておりますけれども、そういうことについては、誤解があると私は思いますよ」「いろいろな誤解が生じることは仕方がないと思います。専門家ではないわけですから」

 反対意見が多く挙がっていることについて、5月22日の記者会見で江藤前農林水産大臣はこう答えている。そして、新型コロナのせいで、農家に直接説明して回れなかったのが「不幸だった」という。

「誤解」という表現は農水省も多用する。まるで、反対する人は改定案の中身を誤解している。理解が足りないだけ。そういわんばかりだ。しかし、この物言いには断固、納得がいかない。

農水省はわざと「誤解」させてる?

 確かに、「すべての自家増殖が禁止される」「農家はタネや苗を必ず買うことになってコストが増大する」「在来品種がモンサント(多国籍企業)に独占される」という噂を聞いて、心配する人もいる。

 そこで本誌では、改定案が成立したとしても、自家増殖の制限が及ぶのは登録品種だけ。許諾を得れば登録品種も自家増殖を続けられる(費用は発生するが)。種苗法には在来品種の登録を防ぐ仕組みがあり、万が一の場合は、申請によって登録を取り消せるなど、正しい情報をお伝えしてきたつもりだ。

 一方で、農水省側にも「誤解」の原因がある。先に紹介した「登録品種はごく一部ですよ」「許諾料はすごく安いし、手間も増えません」といった説明は、不誠実だといえないだろうか。「米は17%」は明らかに低く見積もっているし、登録品種の作付けが多い大豆や小麦に言及しないのもズルい。登録品種の割合を低くみせるために、わざわざ品目を選んで出したのではないか。中身を調べてみて、そう勘ぐってしまったほどだ。

農水省の欺瞞と怠慢

 思えば農水省は、これまでずいぶん不誠実な対応を続けてきたといえる。以下、一部を振り返ってみたい。

・自家増殖に関する検討会に、有機農家を呼んでいない。

・2017年に突然、農家にこれといった説明もなく、種苗法を一部改定、農家が登録品種を自由に自家増殖できない「禁止品目」を289種に急拡大。

・禁止品目には、従来は対象でなかったニンジンやダイコンなど種子繁殖性の作物を入れた(メリクロン培養が実用化しそうという理由だったが、完全にこじつけだ)。

・ホウレンソウなど、登録品種がない(保護すべき育成者権がない)品種まで禁止品目に加えた(種苗法改定の目的は「育成者権保護のため」だったはずなのに)。

・UPOV91に代表されるように、自家増殖「原則禁止」こそがグローバルスタンダードと説明(そんなことない。ITPGRや国連の「小農宣言」など、自家増殖を「農民の権利」と位置付ける国際条約もある)。

・イチゴの品種が海外に「流出」したことによって、5年間で200億円を超える被害を被っていると説明(8月号で紹介した通り、この試算はおかしい)。

 ほかにも挙げればきりがないが、特に納得のいかない説明が2点ある。

 まず、19年4月号の取材では「自家増殖を禁止すると農家に影響の大きい品目」としてイチゴやマメ類、イモ類などの品目を挙げたうえで、「直ちにすべての品目を禁止するわけではないし、育成者権を及ぼす品目は、育成者と農家両方のバランスを考えながら選ぶ」と担当者が明言している。ところが今年に入ると一転、種苗法を全面改定し、登録品種はすべて自家増殖を原則禁止、許諾制にするとした。1年前の説明は、ウソだったのか。

 もう1点は8月号で紹介した通り、種苗法改定の理由に「品種の海外流出」を挙げておきながら、それとは直接関係ない「農家の自家増殖の原則禁止」をセットにしたこと。農水省の説明は、農家が自家増殖するから品種が海外に流出するというもの。これが最大のウソだ。農家を賛成派と反対派に分断させた、罪深いウソだ。

法案の練り直しも前向きに検討してほしい

 農水省や大臣の仕事は、ごまかしやゴリ押しで法案を通すことではない。自家増殖の原則禁止が及ぼす影響を、地域ごと、品目ごとに正しく精査し、農家に提示することだ。また、公的機関の品種の許諾料くらい、農水省がガイドラインを作ってもいいはず。契約書のひな形を作るだけでなく、JAとは本腰を入れて話し合い、必要であればその負担も予算化すればいい。ただし、それには時間もお金もかかる。「品種の海外流出防止は待ったなし」なんであれば、農家の自家増殖とは切り離し、別々の法案にすればいいはずだ。繰り返しになるが、それが『現代農業』からの提案だ。(編)

*これまでの関連記事は18年2、4、5、6、9月号、19年2、4月号、20年1、2、4、8月号に掲載しています。バックナンバー販売中。「ルーラル電子図書館」での閲覧もできます。

月刊 現代農業2020年11月号 種苗法改定に異議あり! Q&Aでよくわかる 「農家に影響はない」は本当か

 

改正種苗法について

https://www.maff.go.jp/j/kanbo/tizai/brand/attach/pdf/zenkoku-2.pdf

 

肥料をめぐる情勢

https://www.maff.go.jp/j/seisan/sien/sizai/s_hiryo/attach/pdf/index-7.pdf

 

【資材高騰と一次生産物価格に関する生産者・消費者調査】約8割の生産者が、前年比10%以上の生産コスト増 消費者は約8割が、資材高騰による一次生産物の値上げを「許容できる」と回答

株式会社雨風太陽
生産者と消費者をつなぐ国内最大級の産直アプリ「ポケットマルシェ(ポケマル)」を運営する株式会社雨風太陽(本社:岩手県花巻市、代表取締役:高橋 博之、以下「当社」)は、資材高騰による生産コストの上昇が生産と消費の現場に及ぼす影響を明らかにすべく、生産者236名と消費者1,074名を対象に「資材高騰と一次生産物価格に関する生産者・消費者調査」を実施しました。




【調査結果サマリ】
1)生産者調査


約8割(83.5%)の生産者が、2022年は前年比で10%以上生産コストが上昇したと回答、30%以上の上昇は約3割(33.1%)
直販において値上げをした生産者(予定含む)は約6割(58.2%)、値上げ率は平均12.6%
約8割(82.0%)の生産者が、生産コスト上昇分を一次生産物の販売価格に転嫁しづらいと回答
生産コスト上昇分を販売価格に転嫁しづらい理由は「消費者サイドの理解が得られない」が約4割(41.5%)、次いで「価格交渉の機会が少ない」が約2割(18.1%)


2)消費者調査


約9割(92.9%)の消費者が、食料品価格の上昇を実感
約8割(77.3%)の消費者が資材高騰による一次生産物の価格上昇を許容できると回答、許容できる値上げ幅は「10%以上20%未満」が最多で約4割(42.5%)


【調査背景と総括】
世界情勢の変化などによる、生産に必要な肥料や飼料、農業機械の燃料といった資材価格の高騰は、一次産業の現場に「生産コストの上昇」という影響を及ぼしています。生産者からは産業の持続を危ぶむ声も聞かれる一方で、そのような生産現場の実態が、サプライチェーンの端にいる消費者に伝わりづらいという現状があります。ですが、生産者が直面する困難は、いずれ消費者の食卓にも影響を及ぼします。

2016年より、生産者と消費者を直接つなぐ「ポケットマルシェ」を運営してきた当社では、資材高騰について生産者と消費者の双方に調査を行いました。それぞれが抱える困難や、そこに対する意識を両者で共有可能にすることで、分断を埋め、消費者と生産者がともに課題に向き合える状態を作りたいという意図があります。

本調査の結果、「消費者サイドの理解が得られない」ことが理由で値上げしづらいと感じる生産者がいる一方で、資材高騰が原因の食材値上げを許容する消費者が一定数いることがわかりました。なお、調査結果は、「ポケットマルシェ」上で消費者に向けても別途発信しています。
「ポケットマルシェ」内コンテンツ: https://poke-m.com/stories/2219

当社は、今後も都市と地方をかきまぜて生産者と消費者をつなぐことを目的に、情報発信を行ってまいります。

【調査結果詳細】
1)生産者調査


約8割(83.5%)の生産者が、2022年は前年比で10%以上生産コストが上昇したと回答、30%以上の上昇は約3割(33.1%)



2022年の生産コストを2021年と比較したところ、コストの上昇率は「10%以上30%未満」という回答が最多で50.4%だった。

また、上記の結果から、83.5%の生産者の生産コストが「10%以上」上昇していることがわかる。生産コストの上昇が「30%以上」の生産者は33.1%となった。



直販において値上げをした生産者(予定含む)は約6割(58.2%)、値上げ率は平均12.6%



生産コストが「10%以上」上昇している生産者の割合が8割を超える一方で、直販において値上げをした(もしくは値上げをする予定の)生産者は58.2%に留まる。


「価格を上げる予定(価格を上げた)」と回答した生産者に値上げ率を聞いたところ、平均値は12.6%、中央値は10.5%だった。


約8割(82.0%)の生産者が、生産コスト上昇分を一次生産物の販売価格に転嫁しづらいと回答



「転嫁しづらい」という回答が最多で、82.0%だった。


生産コスト上昇分を販売価格に転嫁しづらい理由は「消費者サイドの理解が得られない」が約4割(41.5%)、次いで「価格交渉の機会が少ない」が約2割(18.1%)



「転嫁しづらい」と回答した生産者に理由を聞いたところ、「消費者の理解が得られない」という回答が最多で41.5%だった。次いで、「農業者の価格交渉の機会が少ない」が18.1%となった。サプライチェーンにおける生産者と消費者の分断が、価格転嫁を阻む要因の一つとなっていることが示唆される。


「資材高騰が消費社会に及ぼす影響」に関する生産者の声

生産現場における課題は、時間差で食卓にも影響を及ぼし得る。しかし、その影響は消費の現場で十分に可視化されているとは言えない。当社は、生産者とともに可視化を進めていくことに意義があると考える。

「今後、生産資材の高騰は消費社会にどのような影響を及ぼすと思いますか」という問いに対し、複数の生産者から回答が寄せられた。

□ 戸島宏裕さん(戸島農園NS)
一次産業の衰退と農業生産者の急激な減少があるかもしれないと思います。新規就農も、これまで以上にコスト高となりハードルが上がるので、新規就農者が減少するかと思います。それらによって、食料供給事情の悪化が危惧されるのではないでしょうか?また、生産資材メーカーの衰退による事業者の規模縮小や倒産の可能性もありうるかと思います。一次産業生産食材の高騰を受けて、低所得者層の食糧難が大きな社会問題になるかもしれません。

□ 鳥海友紀江さん(TORIUMI FARM)
自身で価格設定できる直売やECでの販売はいいとしても、市場販売ではコスト増分を反映できません。なので零細事業者は生産量を縮小するか、もしくは廃業もあり得るでしょう(年金がある方は借金してまで続けません)。今後は例年通りの出荷は見込めず、価格が不安定になると予想します。その状況を見つつ、ポケマルでも価格を設定したいと思います。

[調査概要]
調査対象:「ポケットマルシェ」登録生産者
有効回答数:236件(回答した生産者が属する業態の内訳は、耕種農業 201件、畜産農業 11件、漁業 19件、林業 5件)
調査方法:インターネット調査
調査期間:2022年6月16日(木)~22日(水)

2)消費者調査


約9割(92.9%)の消費者が、食料品価格の上昇を実感



消費者の92.9%が、食料品の価格上昇を実感している。店頭の値上げ表記や、物価上昇に関する報道等により、価格の上昇に意識が向く場面が増えていることも一因であると推測される。


約8割(77.3%)の消費者が資材高騰による一次生産物の価格上昇を許容できると回答、許容できる値上げ幅「10%以上20%未満」が最多で約4割(42.5%)



調査では、一次産業における資材高騰の概要を説明した上で、価格上昇の許容可否を尋ねた。結果、77.3%の消費者が「許容できる」と回答した。


「許容できる」と回答した消費者に許容可能な値上げ率を聞いたところ、「10%以上20%未満」が最多で42.5%だった。次いで、「10%未満」が38.3%、「20%以上30%未満」が12.8%となった。61.8%が「10%以上」の値上げを許容できると回答している。「資材高騰による生産コストの上昇」という課題を踏まえて、食材の値上げを受け止める意思を持つ消費者がいることが、本調査の結果から見えた。

[調査概要]
調査対象:「ポケットマルシェ」登録ユーザ
有効回答数:1,074件
調査方法:インターネット調査
調査期間:2022年6月8日(水)~6月13日(月)

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日本の稲作の現状と政策課題

https://www.nochuri.co.jp/report/pdf/n1201re3.pdf