信じるか信じないかはあなた次第
- (漫画)精子バンクを利用するとどうなるのか(マンガで分かる)@アシタノワダイ
- 歴史[編集]
- 方法[編集]
- 法規制[編集]
- 日本における状況[編集]
- 米国における状況[編集]
- 生命倫理上の問題点[編集]
(漫画)精子バンクを利用するとどうなるのか(マンガで分かる)@アシタノワダイ
精子バンクで、親になった女性たち。「今行動しなければ母親になるチャンスはないかも」
「結婚を諦めて、決断したわけではありません」とリヴ・ソーンさんは話す。ソーンさんは、4月に息子のハーバートちゃんを出産した。ハーバートちゃんは精子バンクで購入した精子を使って授かった。「恋愛も大切だけど、私は今すぐに子ども欲しかった。愛で解決しないのなら、精子バンクを使おうと思ったのです」
ソーンさんは39歳。彼女のように、一人でも子供を産みたいと願う独身女性が増えている。最新の調査によると、イギリスでパートナーなしで不妊治療に登録した女性は、2014年には942人だったが、2016年には1272人になった。2年間で1.3倍になっている。
なぜこれほど急増しているのだろう?女性が自分で自分の人生を決めるようになった、という意見がある一方で、産む/産まないことについて、女性がオープンに語るようになってきたという意見もある。
一つ言えるのは、キャリアを優先して子育てを先延ばしにした女性にとって、精子バンクが以前よりずっと現実的な選択肢になってきているということだ。
マンチェスターに住む40歳のメル・ジョンソンさんも、精子バンクを使って授かった娘のデイジーちゃんを、2月に出産した。「子どもを持ちたいがために、好きでない相手と結婚するのは間違っていると、女性たちは気づき始めている」とジョンソンさんは語る。
「パートナーを持つなら、うまくいく相手がいいと女性たちは思っています。うまくいかないパートナーと子どもを作るよりは、自分1人で子どもを作る方がずっといいです」
ハフポストUK版は今回、3人の女性に話を聞いたが、シングルで子どもを産むと決めた一番大きな理由は3人とも「うまくいく相手と出会う機会がなかなかないが、子どもを諦めたくない」だった。
■ 精子バンクで親になると決めたきっかけ
幼い頃から子どもがたくさんいる家庭に憧れていたソーンさんは、15年間パートナーがいないまま37歳を迎えたとき、一人で子どもを産む決断をした。決して、慌てて決めたわけではない。28歳の時から、もしパートナーを見つけられなければシングルペアレントになると決めていた。
自分の決断を、最初は家族や親しい友人にしか話さなかった。「カミングアウトしているような気持ちでした」とソーンさんは振り返る。周りの人たちのサポートが、彼女を安心させた。「『とんでもない決断だ』と非難する人は、誰一人いませんでした。みんな味方をしてくれました」
ジョンソンさんの場合、決断のきっかけは、20代後半で7年付き合った相手と別れたことだった。
3人目の女性、ミカ・ビショップさんも同じだ。現在44歳のビショップさんは、39歳の時に長年付き合っていた相手と別れた。その時、どうしても子どもが欲しいと思ったという。「頭の中は子どものことでいっぱいでした」と彼女は話す。ジョンソンさんもビショップさんも、交際を諦めたわけではない。ただ、今行動しなければ、もう母親になるチャンスはないかもしれないという結論に達したという。
■隠すことではない
20年前だったら、精子バンクを使って親になったことを秘密にする人が多かったかもしれない。しかし、今はInstagramやブログで、日常生活をシェアする時代だ。ソーンさん、ジョンソンさん、ビショップさんも、精子バンクを使って親になったことを周りにオープンにしている。
ソーンさんは、精子バンクで子どもを作ると決断した最初の日から、周囲の人たちに話してきた。性格的に秘密にするのが苦手ということもあるが、あれこれ噂されるのが嫌だったのだ。隠さず話し、ブログに綴り、寄せられた質問に答えている。
ジョンソンさんも「周りの人を困惑させないために、決断後すぐに『年齢のことを考えて自分1人で子供を産むことにした』と伝えました」と話す。「『普通とは順番が反対で、まず最初に赤ちゃんを生んでそれからパートナーを探す』ってね。パートナーを持ちたいという気持ちは、今でも変わりませんが、(子供を産んだことで)時間のプレッシャーから解放されました」
ビショップさんも保育園のお母さんたちに、自分がシングルマザーで、精子バンクで母親になったと包み隠さず話してる。
双子の男子、ザックとレオを2015年1月に産んだ時に、多くの人から「知り合いにも精子バンクで子供を産んでいた人がいる」と聞いて、驚いた。
■精子バンクを使う時に、考慮すべきこと
精子バンクを使って、1人で子供を育てる時には、事前に考えなければいけないことがたくさんある。
一つは、費用だ。精子の購入額は、利用する精子バンク次第で大きく違う。イギリスで最も利用者が多いといわれる「ロンドン精子バンク」の場合、約950ポンド(約13万3,000円)かかる。それ以外の精子バンクは、850ポンド(約11万9000円)から購入できる。通常の買い物と同じく、まとめ買いすると安くなる。ただ、配送料と保管費用は自己負担だ。受精するための費用も必要になる。イギリスでは、子宮腔内授精は約800ポンド(約11万2000円)、体外受精が約3000ポンド(約42万円)かかる。
受精が失敗し続けた場合には、精神面で大きな負担がかかることも考慮しなければいけない。
ソーンさんにとって、精子の購入は気が遠くなるようなプロセスだった。「私が使ったサイトは(出会い系アプリの)TinderとAmazonを合わせたようなものでした」。検索条件で、身長や体重、人種や既往歴を選び、買い物かごに入れて購入。イギリスに配送してもらう。
ソーンさんは選んだのはデンマーク人のドナーだ(ちなみにイギリスでは、2017年に3000の精子サンプルがデンマークから輸入された)。オープンドネーションにしたので、息子は18歳になったら、生物学的な父親に連絡を取ることができる。
費用は、家を抵当に入れて用意した。精子を4本購入して、イギリスに輸送。その後病院で保管して、子宮腔内への授精を4度試みた。かかった費用は総額1万4000ポンド(約196万円)にものぼる。「排卵誘発剤や体外受精なしで妊娠できて、ラッキーでした。そうでなければ、もっとかかったでしょう。予定以外のことにも様々な費用がかかりました。ちょっとしたことにも課金されるんです」
最初の3回は失敗したが、「失敗するたびにひどく落ち込みました。大きな喪失感を感じて打ちひしがれました」と話す。3回目の失敗の後、6カ月間人工受精をやめた。
6カ月後、「もしうまくいかなかったら体外受精にしよう」と決めて4回目の子宮腔内授精に臨んだ。期待しないようしていた。2週間半後、姪っ子と遊んでいる時に軽い気持ちで妊娠判定テストを受けたところ、ずっと待ち望んでいた陽性だった。
「何も考えられないくらい衝撃的でした。でも最高に嬉しくて、涙を流しながら飛び跳ねました」
他の2人はどうだったのだろう。
ジョンソンさんは、マンチェスター不妊病院で精子バンクで入手し、36歳の時に体外受精を始めた。胚(受精卵)が3つできたので、全てを凍結保存した。そして2回目の肺移植で、妊娠した。
ビショップさんの場合、妊娠にプロジェクトのように取り組んだ。リサーチに6カ月かけ、セミナーに足を運び、精子バンクで子供をもうけた女性たちと話し、そして資金を準備した。「自分が正しいことをしているか、常に自分に問いかけながら進めてきました。でもいつも、間違っていないと感じました。少なくとも家族を持ちたいという気持ちについては、自分に嘘をついてませんでした」
世界中の精子バンクの提供者プロフィールに目を通し、最終的にイギリスのある精子バンクから提供者を選ぶことにした。「一度も会ったことがない人との子供を持つのは、変な感じではないだろうか?」と、自分に問いかけつつ、精子をオンラインで買い、人工授精をした。
最初は流産、2回目は化学妊娠だった。3回目、別の精子を使って妊娠した。お腹の子供が双子だとわかった時は衝撃を受けたが、それはすぐに大きな喜びに変わった。子供たちにきょうだいができることに、ビショップさんは安心した。
■親になってみて
それから3年半、よちよち歩きだった子供たちは走り回るようになった。週4日働きながら子育てするのは、決して楽ではない。でもビショップさんは自分の決断が間違っていなかったと確信している。
ソーンさんもジョンソンさんも、同じように子供を産む決断をしてよかったと思っている。
ソーンさんは「息子に対する愛情が、こんなに大きいと思わなかった」と話す。精子バンクによる出産だと本人に教えることを、恐れていない。「息子には、自分は周りと違うと感じて欲しくないんです。それに生まれてきた経緯を知って欲しいと思っています。彼は待ち望まれて生まれてきました、デンマークの親切な男性が、私に素晴らしい贈り物をくれました」
ビショップさんはすでに、息子たちがわかるような簡単な言葉で「精子バンクを使ってあなたたちを授かった」と伝えている。精子バンク利用者のサポート団体「ドナー・コンセプション・ネットワーク」が作った本も使っている。
同団体が作った「私たちのストーリー」という本には、親たちが精子バンクを使って子供を授かるまでのストーリーが書かれている。「息子たちはまだ幼く、完全に理解してはいません。しかし、精子提供者という言葉に馴染んでおくことや、"パパ"が近くにいなくても、ママは全く問題ないということ知ることは、子供にとってとても大切です」とビショップさんは話す。
ジョンソンさんは、自分の経験をブログで綴っている。彼女も、娘に伝える時には本を使っている。娘を授かった方法を描いた「私の家族」という絵本を、自分でも作っているところだ。「(精子バンクのことは)大きくなってから伝えるのではなく、成長の過程で普通のことだと娘には感じて欲しい。大きくなったら、もっと詳しい説明をしようと思っています」
親になるということは、想像よりずっと素晴らしかった、とジョンソンさんは話す。彼女が口にする喜びの言葉は、他の新米ママたちと何一つ変わらない。
「娘との絆は、私が今までに全く経験したことがないものです」
ハフポストUK版の記事を翻訳しました。
精子バンク
ドナーから採取した精子を格納保存する施設、機関のこと。血統を重んじる馬、肉質が求められる牛、などの動物では、生産地のブランドを守るために厳重な管理の下に精子を保存している。人間の精子では、主に不妊症者、同性愛者、非婚の希望とともに提供されている。
歴史[編集]
精子バンクはハーマン・J・ミュラーによって提唱された。1964年に不妊の人工授精のために、最初の精子バンクが米国・アイオワシティと日本・東京で誕生した。これにより、子供の求める性質を精子の段階で選択できるようになった。以後、精子バンクの利用者は増え続け、1980年にはミュラーの影響を受けたロバート・グラハムがノーベル賞受賞者専用の精子バンク「レポジトリー・フォー・ジャーミナル・チョイス」(ジャーミナル・チョイスはミュラーの言葉である)を開設し、大きな話題を呼んだ。現在ではアメリカだけで100万人以上の子どもが精子バンクの人工授精によって誕生している[1]。
方法[編集]
採取された精子は、0.4~1.0mlほど小さなガラス瓶やストロー容器に入れ、液体窒素で凍結する。保存期限はなく、20年以上経った精子を使って健康な子が生まれた例もある。
法規制[編集]
日本には、精子バンクや精子提供を規制する法制度はない。ただし、日本産科婦人科学会が関連する倫理規程を有している。
この節の加筆が望まれています。日本における状況[編集]
日本では、日本産科婦人科学会が定める「非配偶者間人工授精に関する登録施設」が、公式的な精子バンクの役割を担っている。ただし、利用可能な者は不妊の法定婚夫婦に限定され、施設数も10数ヵ所にとどまるほか、慶応病院のように、ドナーの減少により休廃止となる施設も多い。このような中、個人の精子提供サイトが多数立ち上がり、同性婚者や性同一性障害カップル、非婚女性等のニーズに応じている状況にある。精子提供により生まれた者として、DI(提供精子による人工授精)で生まれたことを公表している主な例としては横浜市立大学医学部付属病院の加藤英明医師が、DIで生まれたことを公表している。
米国における状況[編集]
米国では、2005年5月24日より新しいガイドラインを伴ってFDAによって管理・規制されている。匿名ドナーと公開ドナーのいずれを使っても安全性は確かめられている。ドナーは頻繁にテスト、監視され、全ての精子は最低6ヶ月間ドナーの健康性の確証が得られない限り公開されない。検査は、HIV-1,HIV-2,HTLV-1,HTLV-2、白血病、梅毒、クラミジア、クロイツフェルトヤコブ病、核型分析46,XY、海綿状脳症、サイトメガロウイルス、淋病に及ぶ。無償提供の団体も多々あるが、全く個人的に精子を販売している人もいる。
精子は人気ごとに異なる値段がつけられ、ランキング上位にはスーパーモデル、(TV、新聞、雑誌や、ホームページなどで活躍する)モデル、成功を収めた商人、優秀な医者や弁護士や数学者等の専門家、スーパーハッカーなどが名を連ねる。
米国では精子提供者の匿名性保持が不可能となったため、提供者は減少している。また所得の少ない女性には、自宅でのセルフ受精を行っている企業もある。冷凍されて送られた精子を室温で解凍し、専用の注射器で子宮口付近に自己注入する手順である。注入後15-30分横になっていることが推奨されている。また注入後、腟への異物の挿入を伴わないオルガズムは、子宮口が腟内の精子プールに動くことを助け、受精率を上げるとされている。
生命倫理上の問題点[編集]
精子バンクは、優生学や人種差別に繋がる等と指摘されており、問題視する声も上がっている[2]。先述の「レポジトリー・フォー・ジャーミナル・チョイス」(胚の選択のための倉庫)は、そもそも創設者ロバート・クラーク・グラハムの公言する設立主旨[3]はマスコミや世論から轟々たる非難を浴びた。一方、社会学者シュテファン・キュールは著書『ナチ・コネクション』の中で現代アメリカで人間を対象としている精子バンクなどの遺伝子産業とナチスが進めていた優生学研究との関連性について指摘している[4]。
書籍『ジーニアス・ファクトリー』によれば、「結果として言うのであれば、ノーベル賞科学者の精子を元に子供を生んでも、同じノーベル賞科学者は生まれなかった。ある程度の優秀さを持つ人間から、人生を棒に振った者まで、すべて”天才”というわけではなく、そこに様々な人生の成功者から失敗者が存在した」(あとがきより)という記述がある。