信じるか信じないかはあなた次第
【利権とメンツ】国が勧めるジェネリック医薬品の裏側を漫画にしてみた(マンガで分かる)@アシタノワダイ
抗菌薬「セファゾリン」の供給に支障、厚労省が代替薬リストを作成・公表
抗菌薬である「セファゾリン」の供給に一時的に支障が出る可能性があることから、医療機関等では代替薬リストを参照し、関係部門で十分に情報共有をしてほしい―。
厚生労働省は3月29日に事務連絡『セファゾリンナトリウム注射用「日医工」が安定供給されるまでの対応について』を発出し、医療現場に注意を促しました(厚労省のサイトはこちら)。
厚労省と国立国際医療センターで「代替薬リスト」を作成
セファゾリンナトリウムは、セファゾリンに感性のブドウ球菌属、レンサ球菌属、肺炎球菌、大腸菌などによる▼敗血症▼感染性心内膜炎▼表在性皮膚感染症▼深在性皮膚感染症▼リンパ管・リンパ節炎▼外傷・熱傷及び手術創等の二次感染▼乳腺炎▼骨髄炎▼関節炎▼咽頭・喉頭炎―など、さまざまな感染症の治療に用いられます。
今年(2019年)2月に、後発医薬品メーカーの日医工社から、セファゾリンナトリウム注射用0.25g「日医工」・同0.5g「日医工」・同1g「日医工」・同2g「日医工」について「原薬入荷および製造等の問題により製品供給に支障を来す」ことが報告されました。厚労省は同社へ供給再開に努めるよう求め、また同種同効品を供給する製薬メーカーへ生産増強等を求めていますが、「一時的に供給が不足する」可能性のあることが判明しています。
こうした事態を受け、厚労省は国立国際医療研究センターAMR臨床リファレンスセンターと協力し、既存の診療ガイドライン等を踏まえた【代替薬リスト】を作成・公表しました。
多くの医療機関で広範に使用されている医薬品であり、▼各診療部門▼感染制御部門▼抗菌薬適正使用支援部門―などで、十分な情報共有が待たれます。
◆事務連絡(代替薬リストを掲載)はこちら
●周術期予防抗菌薬(セファゾリンを選択する術式の代替薬)【脳神経外科】
▽代替薬例:▼セフォチアム(ハロスポア静注用、パンスポリン静注用、ほか後発品あり)▼セフォタキシム(クラフォラン注射用、セフォタックス注射用)▼セフトリアキソン(ロセフィン静注用、ほか後発品多数)▼クリンダマイシン(ダラシンS注射液、ほか後発品多数)▼バンコマイシン(塩酸バンコマイシン点滴静注用、ほか後発品多数)
▽対象となる細菌:黄色ブドウ球菌、レンサ球菌【耳鼻咽喉科】
▽代替薬例:▼アンピシリン・スルバクタム(ユナシン−S静注用、ほか後発品あり)▼セフォチアム(ハロスポア静注用、パンスポリン静注用、ほか後発品あり)▼クリンダマイシン(ダラシンS注射液、ほか後発品多数)
※口腔内切開を伴う場合は嫌気性菌をカバーするためクリンダマイシン、アンピシリン・スルバクタムを選択
▽対象となる細菌:黄色ブドウ球菌、口腔内嫌気性菌、レンサ球菌【心血管外科(心臓、血管)】
▽代替薬例:▼セフォチアム(ハロスポア静注用、パンスポリン静注用、ほか後発品あり)▼セフォタキシム(クラフォラン注射用、セフォタックス注射用)▼セフトリアキソン(ロセフィン静注用、ほか後発品多数)▼クリンダマイシン(ダラシンS注射液、ほか後発品多数)▼バンコマイシン(塩酸バンコマイシン点滴静注用、ほか後発品多数)
▽対象となる細菌:黄色ブドウ球菌、レンサ球菌【胸部外科(肺、気管)】
▽代替薬例:▼アンピシリン・スルバクタム(ユナシン−S静注用、ほか後発品あり)▼セフォチアム(ハロスポア静注用、パンスポリン静注用、ほか後発品あり)▼クリンダマイシン(ダラシンS注射液、ほか後発品多数)
▽対象となる細菌:口腔内嫌気性菌、レンサ球菌【乳腺外科】
▽代替薬例:▼セフォチアム(ハロスポア静注用、パンスポリン静注用、ほか後発品あり)▼クリンダマイシン(ダラシンS注射液、ほか後発品多数)
▽対象となる細菌:黄色ブドウ球菌、レンサ球菌【上部消化管外科(食道、胃、空腸)】
▽代替薬例:▼アンピシリン・スルバクタム(ユナシン−S静注用、ほか後発品あり)▼セフォチアム(ハロスポア静注用、パンスポリン静注用、ほか後発品あり)
※大腸菌の薬剤耐性が増加しているため、自院や地域のアンチバイオグラムを参考にして上記から選択
▽対象となる細菌:大腸菌、肺炎桿菌【消化器外科(肝、胆嚢、胆管、膵)】
▽代替薬例:▼アンピシリン・スルバクタム(ユナシン−S静注用、ほか後発品あり)▼セフォチアム(ハロスポア静注用、パンスポリン静注用、ほか後発品あり)▼セフメタゾール(セフメタゾン静注用、ほか後発品多数)▼フロモキセフ(フルマリン静注用)
※大腸菌の薬剤耐性が増加しているため、自院や地域のアンチバイオグラムを参考にして上記から選択
▽対象となる細菌:腸内細菌科細菌【婦人科】
▽代替薬例:▼アンピシリン・スルバクタム(ユナシン−S静注用、ほか後発品あり)▼セフォチアム(ハロスポア静注用、パンスポリン静注用、ほか後発品あり)▼セフメタゾール(セフメタゾン静注用、ほか後発品多数)▼フロモキセフ(フルマリン静注用)
※大腸菌の薬剤耐性が増加しているため、自院や地域のアンチバイオグラムを参考にして左欄から選択
▽対象となる細菌:腸内細菌科細菌、Bacteroides fragilisグループ【泌尿器科】
▽代替薬例:▼アンピシリン・スルバクタム(ユナシン−S静注用、ほか後発品あり)▼セフォチアム(ハロスポア静注用、パンスポリン静注用、ほか後発品あり)▼アミノグリコシド系薬(エクサシン注射液、アミカマイシン注射液、ゲンタシン注、トブラシン注、ハベカシン注射液、パニマイシン注射液、ほか多数)▼シプロフロキサシン(注射・経口)(シプロキサン注、シプロキサン錠、ほか後発品多数)▼レボフロキサシン(注射・経口)(クラビット点滴静注、クラビット錠、ほか後発品多数)
※大腸菌の薬剤耐性が増加しているため、自院や地域のアンチバイオグラムを参考にして上記から選択
▽対象となる細菌:腸内細菌科細菌【整形外科(脊椎手術、人工骨頭置換術など)】
▽代替薬例:▼セフォチアム(ハロスポア静注用、パンスポリン静注用、ほか後発品あり)▼セフメタゾール(セフメタゾン静注用、ほか後発品多数)▼フロモキセフ(フルマリン静注用)▼クリンダマイシン(ダラシンS注射液、ほか後発品多数)▼バンコマイシン(塩酸バンコマイシン点滴静注用、ほか後発品多数)
▽対象となる細菌:黄色ブドウ球菌、レンサ球菌
●治療用抗菌薬(一般にセファゾリンを用いることが多いと考えられるもの)【黄色ブドウ球菌(MSSA)菌血症】
▽代替薬例:▼アンピシリン・スルバクタム(ユナシン−S静注用、ほか後発品あり)▼セフォタキシム(クラフォラン注射用、セフォタックス注射用)▼セフトリアキソン(ロセフィン静注用、ほか後発品多数)▼バンコマイシン(塩酸バンコマイシン点滴静注用、ほか後発品多数)▼ダプトマイシン(キュビシン静注用)
※これらによる治療成績はセファゾリンに劣るか十分なエビデンスがないため、セファゾリンを優先的に使用
▽対象となる細菌:黄色ブドウ球菌【軟部組織感染症(蜂窩織炎、丹毒など)】
▽代替薬例:▼アンピシリン・スルバクタム(ユナシン−S静注用、ほか後発品あり)▼セフォタキシム(クラフォラン注射用、セフォタックス注射用)▼セフトリアキソン(ロセフィン静注用、ほか後発品多数)▼クリンダマイシン(ダラシンS注射液、ほか後発品多数)▼アモキシシリン・クラブラン酸(経口)(オーグメンチン配合錠、クラバモックス小児用配合ドライシロップ)▼セファレキシン(経口)(ケフレックスシロップ用細粒、ケフレックスカプセル、ほか後発品多数)▼クリンダマイシン(経口)(ダラシンカプセル)
▽対象となる細菌:黄色ブドウ球菌、レンサ球菌【急性骨髄炎、化膿性関節炎】
▽代替薬例:▼セフォタキシム(クラフォラン注射用、セフォタックス注射用)▼セフトリアキソン(ロセフィン静注用、ほか後発品多数)▼クリンダマイシン(ダラシンS注射液、ほか後発品多数)▼バンコマイシン(塩酸バンコマイシン点滴静注用、ほか後発品多数)▼リネゾリド(ザイボックス注射液、ほか後発品多数)▼ダプトマイシン(キュビシン静注用)
▽対象となる細菌:黄色ブドウ球菌【尿路感染症(急性腎盂腎炎)】
▽代替薬例:▼セフォチアム(ハロスポア静注用、パンスポリン静注用、ほか後発品あり)▼セフメタゾール(セフメタゾン静注用、ほか後発品多数)▼フロモキセフ(フルマリン静注用)▼セフォタキシム(クラフォラン注射用、セフォタックス注射用)▼セフトリアキソン(ロセフィン静注用、ほか後発品多数)▼アミノグリコシド系薬(エクサシン注射液、アミカマイシン注射液、ゲンタシン注、トブラシン注、ハベカシン注射液、パニマイシン注射液、ほか多数)▼シプロフロキサシン(注射・経口)(シプロキサン注、シプロキサン錠、ほか後発品多数)▼レボフロキサシン(注射・経口)(クラビット点滴静注、クラビット錠、ほか後発品多数)▼ST合剤(経口)(バクタ配合錠、ダイフェン配合錠、バクトラミン配合錠)
▽対象となる細菌:大腸菌
ただし、▼本来の推奨薬とは限らない薬剤も含まれる▼本リストに掲載されていない薬剤が不適切とは限らない▼記載順は推奨順ではない▼もともとセファゾリンの使用が推奨されていない場合(例:消化管を利用した尿路変更術を伴う膀胱摘除術での周術期予防投与)は、ガイドライン等を参照して抗菌薬を選択する▼必ず添付文書や各種ガイドラインを確認する(周術期予防抗菌薬に関する総合的なガイドラインとして「術後感染予防抗菌薬適正使用のための実践ガイドライン」(日本化学療法学会/日本外科感染症学会)を参照)―ことなどにご留意ください。
世界を震撼させたジェネリックの発がん性物質
国は「2020年9月を目標にジェネリックの使用割合を80%にする」と閣議決定し様々な施策を進めていますが、医療機関で働くスタッフのジェネリック使用率は58.2%と全国平均72.5%を下回る結果に(18年、厚生労働省調査)。どうして現場の医師たちは先発医薬品にこだわるのか? 「安い」だけでジェネリックを選んでよいのか? 医療業界のタブーに医師が切り込んだ話題作『医者はジェネリックを飲まない』
より、試し読みをお届けします。
* * *
2018年7月、新聞などのメディアは、高血圧症の患者さんに処方されているジェネリック(後発医薬品)の一部から、発がん性物質N-ニトロソジメチルアミン(NDMA)が検出されたことを報じました(毎日新聞 2018年7月6日 等)。この高血圧症治療薬は一般名を「バルサルタン」といい、降圧剤としてよく治療に用いられているアンジオテンシンII受容体拮抗薬のひとつです。
先発の高血圧症治療薬は、スイスの製薬会社が開発した薬でした。
バルサルタンは、日本でも2014年頃から、その薬の後発医薬品として販売されるようになり、約1万9000人の患者さんに処方されていたと推定されます。
発がん性物質の混入が初めて指摘されたのはヨーロッパで、そのニュースが流れるや否や、ヨーロッパでは直ちにこの薬の回収が始まりました。日本でも同様に、新聞に報じられた製薬会社一社がわずかひと月余りで全ての該当製品を回収したそうです。
その後の調査で、発がん性物質は、薬の原料となる原薬に含まれていたことが明らかになりました。この薬を製造している世界各国の製薬会社は、その原薬を作っている会社に対して直ちにリコールを行ったといい、影響を受けた国は22カ国に及ぶとも報じられています。
以前から、NDMAには発がん性があることが知られていました。動物実験では、細胞レベルで遺伝子突然変異、DNA鎖切断、染色体異常などが見られることがわかっています。
また、ラットなどに長期間、このNDMAを投与した場合、または高濃度のNDMAを与えた場合には、肝がん、白血病、リンパ腫、下垂体の腫瘍、甲状腺がんなど数多くの悪性新生物が発生することが確認されています。
このニュースが医療関係者や患者さんたちに対して、大きな衝撃を与えたことは疑う余地がありません。
なぜなら、高齢化がグローバルなレベルで進んでいる昨今、高血圧症で悩んでいる人々が少なくないからです。
2017年厚生労働省調査によると、日本の高血圧症患者は約993万7000人いることがわかっています。男女比で見ると男性が約431万3000人、女性はそれよりも約133万人多い約564万3000人です。その患者さんたちに処方されている降圧剤は相当な数量になるでしょう。
まして「バルサルタン」などのアンジオテンシンII受容体拮抗薬はかなりの患者さんが飲んでいるよく知られた薬でもありますから、こうしたニュースが広がると、「自分の飲んでいる薬は大丈夫なのか?」と、かかりつけの医師や看護師たちに直接質問を投げかけてくることも少なくないのです。これからますます増えていくであろう未来の患者さんにとっても、この発がん性物質の発見は非常に不安をかきたてるニュースになったことは間違いありません。
バルサルタンは、アメリカでは数十年前から広く処方されていたようです。特に高血圧症や心不全などの治療薬として使用されていたといいますが、現在は米食品医薬品局(FDA)の指導により、回収が積極的に進められています。
FDAを日本の官庁に直接当てはめるのは難しいのですが、厚生労働省、農林水産省、経済産業省などの各省の一部の業務を兼務している政府機関であって、特に医薬品と食の安全に関しては大きな権限を持っているところです。
そこが積極的に薬の回収に乗り出したわけですから、このジェネリックの騒動は鎮静化に向かうように見えました。
というのもアメリカは、世界でも一番ジェネリックを使用している、いわばジェネリック王国なのです。
世界各国のジェネリック使用率を調べてみると、いかにアメリカが突出して国民に広くジェネリック医薬品の服用を勧めてきたのかがよくわかります。
厚生労働省の資料によると、世界のジェネリック使用率は、アメリカ91.7%、ドイツ86.3%、イギリス76.6%、フランス67.6%、スペイン65.3%、イタリア59.2%、そして日本は59.0%です。
これは2016年のデータですが、この数値を見ても、いかにアメリカでジェネリックが普及しているかがよくわかります。
それだけに発がん性物質が検出されたショックは大きく、現在でもその余波は続いているようです。
すべてはメンツと利権死守。アビガンを厚労省がすぐ承認できぬ闇
新型コロナウイルス感染症の治療薬として5月中の承認が期待されたものの、残念ながら見送りとなってしまった抗ウイルス薬「アビガン」。ロシアからはアビガンのジェネリック品が暫定承認されたというニュースも入ってきていますが、なぜ開発元を抱える我が国では未承認のままなのでしょうか。今回のメルマガ『大村大次郎の本音で役に立つ税金情報』では元国税調査官で作家の大村大次郎さんが、その裏にあるにわかに信じがたい理由を暴露しています。
なぜアビガンはなかなか承認されないのか?厚生労働省という利権集団
日本政府の新型コロナ対策は、後手後手に回ったと批判されています。
死者の数などは欧米よりはかなり少ないですが、これは東アジア諸国共通の現象であり、日本のやり方が成功したとは到底いえないものです。むしろ、死者の数は東アジアでは最悪のレベルです。人口比での死者数は台湾の数十倍、韓国の数倍に達しています。
また日本のPCR検査は世界最低レベルであり、現在、感染者が減ったとはいえ「本当に減っているか」不安に思っている国民も多いはずです。
この新型コロナ対策が後手に回った要因の一つとして、厚生労働省の存在があります。
筆者はこれから2回に分けて厚生労働省の悪事に関して書くのですが、それは書いている筆者自身が気分が悪くなるほどです。読んでいる方の中にも気分が悪くなる方が大勢いると思われます。ですが、これが日本の厚生労働省の現実なのです。国民として知っておかなければならない情報です。
厚生労働省というのは、医療、保健分野だけではなく、労働行政や社会保障まで管轄する非常に権力の大きい象徴です。古今東西、こういう権力の大きな省庁というのは、得てしてその権力をかさに着てやりたい放題やる傾向にあります。
では今の日本の厚生労働省はどうかというと、まさに「悪辣官庁」の見本というような官庁なのです。またこのことが新型コロナ対策での政府の対応のお粗末さにつながっているのです。
ところで新型コロナ対策で日本でPCR検査が増やせなかった要因の一つとして、「設備の不足」というものがあります。日本では、PCR検査をするための設備が不足しており技師の数も不十分なのです。科学技術大国を自認する日本が、なぜこういうことになっているのでしょうか?
はっきり言えば「厚生労働省」という「利権集団」が原因なのです。彼らが自分たちの利権を守るために、日本でPCR検査を機器などの導入を遅らせてきました。そして、これほど被害が拡大した現在でも、その悪の手を緩めず、まだこれらの機器の導入には大きな障害があるのです。
たとえば、わかりやすい例をご紹介しましょう。日本には、最新鋭のPCR検査機器を製造している「プレシジョン・システム・サイエンス」(PSS社)というメーカーがあります。PSS社は、PCR検査について現在手作業で行われている部分の多くを自動化し、しかも早く正確に判断できる「全自動PCR検査システム」を開発しています。
この「全自動PCR検査システム」を使えば、現在の手作業では一つの検体の判定に時間かかるところを、たった2時間で8検体または12検体の判定が可能になるそうです。
このPSS社は、フランスのメーカー「エリテック社」に技術供与しており、エリテック社製のPCR機器はフランスの医療現場で採用され大活躍しています。このことでPSS社は、駐日フランス大使から感謝状をもらったというのです。
このように世界的にも認められている「全自動PCR検査システム」であり、これを導入すれば、日本のPCR検査は一気に進むはずです。しかし、なんと日本の厚生労働省は、医療機器として認可していないのです。しかも、新型コロナの被害が拡大し、政府が非常事態宣言を発した現在でも、認可される兆しはないのです。
だから、せっかくの日本のメーカーがつくった世界最新鋭のPCR検査機器を日本の医療現場では使えないという状況になっているのです。今でも日本のPCR検査の現場では手間のかかる手作業で行っているのです。このような例が、医療界全体でここかしこにあるのです。それが、「PCR検査の技術において日本が遅れている」という状況を作り出しているのです。
なぜアビガンはなかなか新薬承認されなかったのか?
PCR検査だけじゃなく、新型コロナの治療自体においても、厚生労働省の「妨害工作」はあります。その最たる例が、アビガンの新薬承認の遅れです。アビガンというのは、日本の富士フィルムが開発した新型インフルエンザの治療薬です。
このアビガンは、世界各国で新型コロナの治療に使用され、有効性が認められているものです。
また日本でも、宮藤官九郎さんなどの新型コロナ感染者がアビガンを使用することで劇的に症状が完全したことを明らかにしています。
日本政府は、新型インフルエンザの流行に備え、このアビガンを70万人分備蓄していました。もしアビガンが有効な薬なのであれば、これを使用することで新型コロナ治療が大きく前進するはずです。
にもかかわらず、アビガンは2020年6月1日現在、新型コロナの治療薬としての承認は受けていません。治療薬としての承認を受けていないとどうなるかというと、治療薬としては使えないということなのです。
今もアビガンは新型コロナ治療の現場で使われていますが、アビガンの投与は、治療ではなく、「観察研究」「臨床研究」「企業治験」ということになっているのです。つまり、実験段階として使っているに過ぎないということなのです。
このアビガンを医療機関が使用する場合、藤田医科大の研究班や国立国際医療研究センターの研究班による観察研究に参加する必要があるのです。ざっくり言えば、アビガンは今現在も使えないわけではないが、使える病院はアビガンの観察研究に参加しているところに限られるのです。だから、いざとなったときにどこの病院でもアビガンが使えるというわけではないのです。
アビガンを使用するには面倒な手続きを経なければならず、機動的、即効的に使うことは難しいということです。またアビガンを使う際には、患者の同意も必要となります。だから意識が朦朧としているような患者、意識が飛んでしまっている患者には使えないわけです。
3,000人に投与して「効果が不明」とはどういうことだ!
アビガンは現在、日本で3,000人以上の新型コロナ患者に投与されています。厚生労働省お抱えの医者や評論家などは、規則の細かい臨床試験などの少ないデータを持ち出して「アビガンの有効性はまだ証明されていない」「だから簡単に承認できないのだ」などと主張しています。
が、日本ですでに3,000人以上投与されているのだから、有効かそうでないかは、どういう副作用があるかなどはざっくりでもわかっているはずです。もし本当に「有効性がわかっていない」のであれば、「有効性が確認されていない、身体に決して負担が少なくない薬を3,000人に投与した」ことになります。そういう薬を3,000人への投与を許すというのは、あまりに無責任なことです。
アビガンがなかなか新薬として承認されない一方で、アメリカの製薬メーカーがつくった「レムデシビル」は、非常に短期間で特例承認されました。レムデシビルはもともとはエボラ出血熱のために研究開発された薬で、重篤な新型コロナ患者に有効性が認められています。
「特例承認」というのは、海外で販売(使用)されているような薬で緊急性がある場合には、通常の手続きを経ずに新薬として承認するという制度のことです。
ここにも、日本の官庁の欠陥が如実に表れているといえます。日本の官庁は、国内の業界に対しては鬼のように厳しいのですが、アメリカから言われれば簡単に折れてしまうのです。
アビガンもこの特例承認をしようと思えばできるのです。「レムデシビル」は海外で有効性が確認されているとはいえ、日本での使用数はまだ50件ほどしかありません。アビガンの3,000件の使用例とは比べ物にならないのです。
薬の有効性や副作用のデータなどは、アビガンの方がはるかに蓄積されているの
です。特例承認するのであれば、どう見てもアビガンが先なのです。
なぜ日本の新薬承認は遅いのか?
なぜ厚生労働省は、このような嫌がらせのようなことをし、国民全体の被害を大きくしているのでしょうか?それは厚生労働省の権力を誇示するためです。そして関係業界などをひれ伏せさせ、天下りなど様々な利益供与を受けるためなのです。
日本の医療機器や新薬の承認は、諸外国に比べて非常に遅いということがよく指摘されます。日本の新薬承認が遅い最大の理由は、厚生労働省がその権威を見せつけるためにもったいぶっているからなのです。
許認可というのは、日本の省庁にとってもっとも重要な権限だといえます。そして新薬の承認というのは、厚生労働省の中でもその権威の源泉です。製薬業界、医療界全体に睨みを利かせ、天下り先を確保するためのもっとも重要な武器なのです。
現在、新薬の承認は、独立行政法人の「医薬品医療機器総合機構」(通称PDMA)というところが中心になって行っています。このPDMAは、一応省庁から独立した「独立行政法人」ということになっていますが現在の理事は国立病院、厚生労働省からの出向者が中心であり、完全に厚生労働省の支配下にあるのです。
そして新薬承認は、一定の基準をクリアすれば許認可が下りるわけではないのです。一応の基準はありますが、承認するかどうかはPDMAの判断による部分が大きいのです。
だから製薬メーカーや医療機器メーカーは、どれだけ頑張ってもなかなか承認されないという無限地獄に陥るのです。しかも、新参者のメーカーはなかなか通りにくいのです。アビガンがなかなか新薬承認されないのに、アビガンを製造しているのは「製薬」としては新参者の富士フィルムだったことが要因として考えられるのです。天下りを受け入れたり、政治家のパーティー券を大量購入したり、政官に様々な便宜を図る企業は優先され、それをしない企業への許認可はなかなか下りないのです。
次号では、
「厚生労働省の天下りの実態」
「厚生労働省の社会保険料のピンハネ」
について言及したいと思います。